二人の女は土俵のなかで向かい合っていた
日頃の仲のいい姿はうそのようににらみ合いながら向き合っていた
土俵に入ってしまえば二人は土俵という円状の陣地を巡るライバル同士でしかない
どちらかが勝者になり土俵に残り、
どちかが敗者になり土俵の外にいる
そういう関係でしかないのだ
二人は両手をつき時を待った
のりこは恵子の大きな胸とスラっと痩せた体系に対し人知れずコンプレックスを抱き
対する恵子もまた、のりことその夫の夫婦仲のよさに同じくコンプレックスを抱いていた
表向きは仲のいい二人も日頃から互いに対して嫉妬心を密かに燻らせてきたのだ
この嫉妬心のぶつかり合いが今この土俵で始まろうとしていた。
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