2013年12月2日月曜日

オンナたちの習い事(1)

 とある郊外にある人気スポーツジムチェーンで金曜の夜21時から開かれる女性たちに人気の講座がある
 この講座は女性会員にしかその存在は告知されない秘密の講座である
町田サトコも金曜は早めに家事を終え毎週のようにこの講座に参加している
 

といってもさとこは普段と変わらぬ荷物で、変わらぬ様子で、他の日と同じように
 
このジムに出かけていく
だが金曜日の荷物の中身は入浴セットは普段と同じ
だがそれ以外の主な中身は水着でも、スポーツ用のウエアでもない
大きな白い手ぬぐいのような布が入っている
この布
家の物干しに干しているとどこにでもある普通のシーツだ
だから家族もその講座で使っているウエアだと気づくことは少ない

講座名は『女性健康体操』
となっている
だからその地下室でやっている講座について知っている男は
ジムのスタッフの男ぐらいだろう

講座に参加する女たちは
更衣室に着くと思い思いに畳んだ大きな布を取り出し

その布を線状に折って
体に締め付け始める

締め方は初心者クラスの最初の講習で習う

そして
思い思いに下半身に締め終わった女たちは
上半身はあらわな姿のまま
ジムやプールに行く女たちと別れて
更衣室内の階段から地下のフロアに降りていく

男子禁制のフロアの3つの部屋へ
それぞれ15人ずつ入っていく

「さとこさん、まえ、真ん中の部屋じゃなかった」
「こないだの検定ダメだったの、また右の部屋になっちゃった」
さとこはこの時間互いにライバルとして意識し合う友人のミエコの問いかけに悔しそうに答えて部屋に入っていった

部屋にはウレタンが地面や壁一面に敷き詰められ
真ん中にはまるい円に二本の線で土俵が描かれている


女たちは『相撲』の講座に集まっていたのだ
レベル別上から真ん中、右側、左側の三つの部屋に分かれて90分間ほどの講座が開講される

一番下のクラスでは相撲健康体操などエクササイズ系のメニューやストレッチやヨガなど健康づくりのメニュー中心で構成される
そして、競技としての相撲に興味がむいてきた受講者は希望すれば一つ上のクラスに移ることができる
一つ上の教室
つまり今さとこがいるクラスでは
受講者の女たちの内容が競技としての相撲の技の講習や実践的な内容の比率が増え
講座の時間の半分が受講者同士の取り組みの時間に充てられる

さらに一つ上の真ん中の教室では
最初にストレッチをインストラクターの指導の下行った後は
たまにテーピングやPNF等の講座がある場合以外は
ほとんどが取り組みの時間に充てられる

この取り組みの時間でクラス内の番付が決まり
一番上のクラスの下位5名と下のクラスの上位5名が月に一度、総当たりで入れ替え戦を行い
そのなかの上位が五名が上のクラスに入り、下位5名が下のクラスに入るというシステムになっている

ジムに入会した当初は普通にプールやエアロビクスなどで汗をかく毎日だったが
なんだか物足りなさを感じていたとき
ミエコから女性だけで裸の爽快な講座があると誘われ
さとこもミエコが一緒ならと参加してみることにした

講座の張り紙の説明に
『女性健康体操:女性だけの・・・・・・・講座  受講者は布まきを用意してご参加ください』
と書いてあった

布まきは今さとこたちが体にマワシとして巻いてる布のことだ

ジムのショップの片隅に置いてあり
サトコもたまにタオルでもないけど何に使うんだろ
と気になったことのあったアイテムだった

値段は安いもので500円 高いもので2000円と
定価売りが中心のショップの商品としてはかなり安い部類に入るものだった

サトコとミエコは最初
安いのでいいかと500円のものを買った

初めての講座の日

サトコとミエコはすごく汗をかく講座だと聞いていたのでお風呂の荷物を抱え
マワシのように女性会員やサトコたちと同じように布を腰に巻く女たちとともに女性浴場がある地下のフロアの反対の部屋に入っていった

いつもジムの大きなお風呂でならみんな真っ裸なので
ジムで裸になることには慣れていたサトコだったが
エクササイズで裸になり
しかも周りはインストラクター以外みんな裸ということにはなんだか違和感をぬぐえないでいた

最初、サトコとミエコは裸でヨガやストレッチをやる爽快感が病み付きになっていたが
相撲健康体操の講座で初めて布をマワシの形にして体につけた日

サトコの心に少しずつ相撲への興味がわき始めていた

以前から隣の部屋の熱気が羨ましいとも思っていたが
ついに確かなものになった

その日のお風呂でのこと

「ねえさとこさん、私、来月から上のクラス希望しようと思うの」
ミエコも同じことを感じていたようだった

サトコとミエコはそろって希望を書き
上のクラスに移っていった

怖そうだし最初はすぐ下のエクササイズクラスに戻る気でいたサトコも
次第に女と女が裸でぶつかり合う真剣勝負の魅力に魅了され

ミエコと一緒に講座の南の島への海外旅行に参加するまでになっていった
常夏のビーチで同じグループのいろいろな支店のジムでサトコたちと同じように
相撲のとりこになった女たちが集まり
ジムが所有する専用ビーチを借り切って行う相撲大会
南国のビーチに胸もあらわにマワシ1枚の女たちが100人以上集まって
相撲をとりあい
大会が終わった後も
興奮冷めやらぬまま
あちこちに土俵を書いて
思い思いに相手を見つけて相撲を楽しんだ旅行の解放感は最高だった

に魅了されるなか毎週金曜日を心待ちにする日々が続いた

サトコとミエコは互いに競い合い
番付上位を争うようになり
ついには勝負に燃えるあまり
金曜日になると
講座が終わるまで互いにあまり口を利かないようになった時期さえあった

そうして時は過ぎ
迎えたサトコとミエコの直接対決

前回の2週間前の対戦で敗れたサトコは髪を短く切り
今度こそはと臨んだ1番

サトコとミエコは正面から組み合い
まわしを掴み合い
たがいのふくよかな胸を密着させあい
右に左にと体をよじらせながら
力比べをした
サトコは力比べをしながら
ミエコの身体が以前よりずいぶんたくましくなっているのを感じていた
そして次第に
土俵の端に追い立てられ
サトコの足は土俵を割った

そしてそれからしばらく
サトコとミエコの直接対決は少なくなり
ミエコはさらに番付を上げ横綱争いをするまでになり
一方のサトコを調子を落とし
ついに検定という名の入れ替え戦で敗れ
ついには
下のクラスにまでその位を落としてしまったのだった

遠のいていくライバルの背中
サトコはまたミエコと競いたい思い

他の日のトレーニングのメニューをより相撲中心のメニューに変え
上を目指す日々がまた始まるのであった