のりこの黒まわしは先の激しい取り組みではやくもかなり緩んでいたので
厩舎にまわしを締め直しに行った
そこには既に先客がいた
背丈はのりことそうかわらないぐらいだが
胸がのりこの1.5倍はあろうかという女だった
その女も黒まわしを締めていた
黒まわしの女が話しかけてきた
「お互い苦労するわね。なんで子供産んだ直後にこんな祭りあるのかしらね。」
「ほんとね。この大変な時期に
でも日頃のストレスは発散できるからよくなくって」
「それはそうね
とりあえず
勝てばお金もらえて
家庭の足しにもなるしね
割りのいいパートのかわりのようなものね
まあ勝たないとオムツ一個も稼げないけど」
「そうねどうにか勝ってオムツ一個でも買いたいものね」
「私はやるからには全部勝ちたいけど」
「私もよ」
こうして
女とのりこは談笑しながらまわしを直し
御座に戻ると
行司の女から
「西、田澤のりこさん東
菊本まさえさん
土俵へ」
と声がかかり
土俵へあがると
さっき談笑した女だった
「あら、あなただったのね
でも負けないわよ」
「私だって
オムツ一個でも貴方には譲らないわ」
かくして
取り組みがはじまった
のりこの9つ目の取り組みが