2021年4月29日木曜日

山田フミカ 35歳 子供2人

ある日

ふと youtubeでいろいろ見てみると

佐々木が浜のママさん相撲クラブの動画が目についた

母親同士が素っ裸でよくやるわとも思いながら

大会参加記の動画や練習風景の動画をみていって


ちょっとフミカもやってみたいな~とも思い始めていた


また下の子にせがまれて
あの温泉に行った

すると
今日は

こないだの母親たち同士が相撲を取っていた

聴いてみると
こないだテレビでやっていた
"ママさん相撲"の特集をたまたま全員見てて
ちょっと自分たちもやってみたくなったのだとか

フミカも似たような衝動を抱いていたので
誘われるままに
母親たちの相撲の輪に加わってみた。

最初は気恥ずかしさもあって
遠慮気味に手で押し合う程度だった取り組み内容も
だんだんと 白熱して激しく体と体を押し付け合い

投げ技なども時折飛び出す激しいものになり

また、見守る子供たちからも
「ママーーがんばってーー」
「お母さん負けるなーーー」
とか応援されるものだから
どんどんどんどん熱を帯びていく

勝って喜び負けて悔しがり

 それにしても
大人になってから女同士、素っ裸で
激しく体を押し付けあって
まがいなりにも相撲をとることになるなんて

人生は何がどう転ぶかわからないと
フミカはおもった

それから今日集まった
4組の親子は

一緒に体を洗い
入浴を楽しんで

連絡先を交換し合って
温泉を後にした

山田フミカ

西井さやか

2021年4月25日日曜日

石黒富子 27歳 子供1人

富子は海辺のホテルで朝を迎えた。
かねてより交流のある佐々木が浜女子相撲クラブの練習会の2日目の朝

昨日出会ったライバルと言えそうな1人の女性の存在が

最初は相撲クラブ同士の付き合い程度のつもりで参加した練習会だったが

朝起きたときの心持ちを張りのある物にしてくれた。

同じクラブのフミカを誘いホテルの朝食会場に向かった

せっかくお誘いだったので

本当は自分たちのクラブからもっと大人数で来たかったが

構成メンバーは主婦ということもあり
富子のクラブからは富子とフミカの2人だけでの参加となった。


政府の給付金を伴った少子化抑制政策で専業主婦

少子化抑制政策で専業主婦になる女性たちの間では水泳や陶芸、スポーツバイク等さまざまなものが流行した。
そのなかの一つに、美容効果と必要な物は「まわし」か「ふんどし」1枚という手軽さから
いわゆる「ママさん相撲」と呼ばれるスポーツもそんな主婦たちの流行り物の中に含まれていた。
この時代の女性たちはほかの時代に比べて裸になることへの抵抗は薄れていることもあいまって。
マワシ1枚で女性同士が裸で相撲を取り合うことも意外にも受け入れられていった。
日頃の有り余ったエネルギーや、主婦業のストレスを発散するはけ口としても需要があった。

富子もそんな世間の流れの中でそれまでの工場の仕事を辞め
夫のサーフショップを手伝いながら
家事子育ての傍らサーフィンを楽しむといった日常を過ごしていた

そんな折
ママ友から

誘われる形で相撲を始めた

はじめは素っ裸にふんどしなんてと
恥ずかしく思っていたが

浜辺や公園や誰かの家での馴染み同士の練習や
地域の大会などに参加し

たまに上位に入って賞や景品を貰ったりしていくうちに
"ママさん相撲"の魅力にとりつかれていった

家で使っている食洗機も
家電メーカーがスポンサーの大会の優勝で貰った物だ


 富子たちがビュッフェ形式の食堂で朝食を選んでいると1人の肌の白い女性から声をかけられた

同じ神奈川に住む 岩田ノリコ

昨日、出会った相撲への気持ちをさらに燃え上がらせてくれそうな存在だ。


歳は富子と1つ違いで
体型も身長もそっくりで

昨日のノリコとの申し合い等での取り組み結果は
やや富子に分があったもののほぼ互角

力ならノリコ
技なら富子

そう富子は分析していた

富子はノリコと朝食をともにした

そして

今日の自由練習では
一緒に練習する約束をした。


「今日はあったかいから海につかりながら13番稽古なんてどうですか」

ノリコからの提案を富子はは快諾した。

部屋に戻ると
富子は練習着とも言うべき赤いふんどしを締め込み
自分の裸の身体を見て

少したくましくなったなと感心してから

Tしゃつと短パンを上から身にまとった

ママさん相撲では
かさばらないふんどしが主に練習着として使用され
マワシは試合用になることが一般的だT

最終日の今日は

練習会場の砂浜では
あちこちで

即席のペアができて

取り組みやすり足等の練習があちこちで行われていた。

各々の女たちが締め込んだ 青や白や緑や紫など色とりどりのふんどしの色が
晴れ渡った砂浜に鮮やかだった


富子も砂浜の膝下まで水につかる水深の場所でノリコと向き合った
160センチの締まったモデルのような体に透き通るような素肌に
とんがって突き出たまるい胸
緑のふんどし



これからの相撲人生で壁になりそうな存在

負けたくない
そんな気持ちで13番稽古の最初の立ち合いに入った

そうして

富子とノリコは互いの負けたくない意地と意地をぶつかり合わせながら
何番も組み合った

水の中で好敵手の女の身体の力を感じ

ときには
海に投げ落とされ

ときには富子がのりこを海に投げ込み

そんな取り組みが何番も続けるなかで
二人の稽古は熱を帯び

最初13番と約束していた取り組みは

互いの優れた体力も相まって20番以上に及んだ

気がつけば

胸下までつかるぐらいに深い場所で
ノリコと富子は
組み合っていた

ここで富子はノリコの足をかけて
水に沈め
「ちょっと休憩しましょうか」
「そうね、あそこのコンビニでコーヒーでも飲みましょ」

そして

そのまま
今日の練習を終えた。

2人ともかなり疲れて
コンビニで休むころには

体に乳酸がたまって、もう動けないぐらいに疲れ切っていたのだ

ノリコと富子は
どこかの大会での再会と再戦を約束し
ノリコは佐々木が浜の代表に帰りの挨拶をし
富子はフミカの練習終わりをまって別れた。


ここからの相撲生活楽しくなりそうだと富子は思った。

2021年4月17日土曜日

岩田ユリコ 26歳

政府の給付金を伴った少子化抑制政策で専業主婦になったユリコは
とある企画に応募した。

最近、よく企画される"女性限定の相撲の練習会"だった。



少子化抑制政策で専業主婦になる女性たちの間では水泳や陶芸、スポーツバイク等さまざまなものが流行した。
そのなかの一つに、美容効果と必要な物は「まわし」か「ふんどし」1枚という手軽さから
いわゆる「ママさん相撲」と呼ばれるスポーツもそんな主婦たちの流行り物の中に含まれていた。
この時代の女性たちはほかの時代に比べて裸になることへの抵抗は薄れていることもあいまって。
マワシ1枚で女性同士が裸で相撲を取り合うことも意外にも受け入れられていった。
日頃の有り余ったエネルギーや、主婦業のストレスを発散するはけ口としても需要があった。

ユリコのように結婚はしつつも仕事や日常に追われ、
近所や周辺の主婦同士の交流がほとんどなく
「相撲」を始めて見たはいいが
その練習相手も身近におらず、
たまに参加する大会だけが取り組みの練習の機会で
家ではもっぱら、一人でできる体操や四股踏み等のトレーニングしかできないという
環境の人も多かった。

また今回の合宿は主な会場が砂浜なのも、海辺育ちのユリコには大きかった。

参加条件に"泳げること"
とあったのだ

合宿の日程の中に遠泳も組み込まれていた。

ツアー会社ではなく
佐々木の浜女子相撲クラブという
クラブ主催形式のオープン参加型の1泊2日の合宿

自身もスポーツクライミングの趣味を持ち
理解のある夫は快く その参加の旨を承諾してくれた。

当日、ユリコはスポーツバッグに荷物をまとめ
朝5時半に家を出た
それにしても相撲は荷物が少ない
学生時代にやっていた剣道に比べると荷物が軽い。

朝8時頃
宿舎の高級なリゾートホテルに着き、
荷物を置き、ふんどしを締め込み、その上からTシャツと短パンをまとい
シャワーサンダルを履いてホテルから集合場所の砂浜に向かった。


砂浜に着くと
まずはみんなで輪になって
クラブの代表の女性の話を聞き
参加者全員の自己紹介と流れていった
今回の参加者は総勢10人あまりで

関東だけじゃなく北海道や四国など
いろんなとこから着てる人も居るようだった


ぼやーっと
見回しながら話を聞いてると

一人の女性と目が合った。
その視線は
色白のユリコとちがって色黒ながら
身長や体型がゆりことすごく似ている女性だった。

ユリコもその色黒の女性が気になり始めた。


その後 Tシャツをや短パンを脱ぎ
準備体操をしたあと

コーンを3つ置いての簡単なアジリティトレーニングや
1:1でのビーチフラッグのような運動をして

遠泳に入った
ビーチフラッグで
たまたま あの色黒の女性と対戦になった。
すんでの差でユリコが勝った。

やっぱり Tシャツを脱いだ体格もユリコとそっくりだった。

遠泳中も気になった

その女性がユリコの1つ前を泳いでゴールした。

ユリコは心にメラメラした物を感じた。

そして
宿舎に昼食を摂りに帰るときに話しかけてみた
「たしか、神奈川の湘南でしたよね? 私も神奈川で横浜に住んでるのでよろしくお願いします」

「あ岩田さんね、石黒です。神奈川だと同じ大会で当たれそうねよろしく」

「楽しみですね石黒さん。 負けませんよ」


食後は
すり足や四股踏みから始まって
二つの土俵をロープで仕切っての申し合いに入っていった

女たちが裸にふんどし1枚の姿で浜辺の土俵を取り囲み
そして
土俵の中では2人の女と女が
相撲を取り合い、組み合い

勝負がつけば
勝った方によってたかって取り組みを申し込む

手を上げて申し込んだユリコが呼ばれた

そして 正面から組み合い
3番取り組んで疲労の見える相手をなんとか
土俵の外に押し出し

申し込んできた富子を相手に指名し

2番目の取り組みに望んだ
なんとなく負けたくない相手

そう意識し合う二人の取り組みは
激しく身にまとったふんどしをつかみ合い
激しくその肢体と肢体をぶつかり合わせながら

押し合いながら
仕掛け時を探り合っていたが

すんでの隙を突いた富子が
ユリコを砂浜に押し倒す形で

最初の対決に軍配がついた

ここから この二人は幾度も大会などで対戦していくことになる

負けた悔しさもあったが

ユリコはこの活気ある空気を求めて
この練習会に参加したのだと心の底から感じた。

そうした
活気の中で
練習会の1日目が終わった。