2023年11月19日日曜日

日下ともよ 30歳 こども2人

神奈川の湘南の砂浜に建てられた小屋の中の相撲場

毎週 火曜日と木曜日は女たちの殺気と活気が
満ち溢れる
ここはママさん相撲の強豪クラブ
湘南相撲クラブの練習場だ

女たちが見つめる土俵の片隅で
ともよは
相手の女と裸に白い廻し1枚の姿で組み合う
相手の女の身体からくる
女の体温と肢体の感触と圧力を感じながら

右手は相手の女の廻しをつかみ
左手は相手の女の右手
廻しの後ろ側を掴みあって力を込めて

身体と身体を密着させて押し合う


その前の日の昼過ぎ
ともよがママさん相撲クラブの練習のために
カバンの中に練習用のふんどしなどを詰めていた

カバンの中を見ると
先週までの大きな大会の神奈川県大会のことが
頭に浮かんだ

クラブ内の選考大会や
選考のための個人大会の結果で今回も
Aチームには入れずBチームだったという
悔しさ
そして
Bチームなので
明日はAチームのサポートが主になるだろうと
思うところもあるが

それでも
Bチームの主将として副将の
犬塚くみこと協力し
5人制団体戦に4人で挑んで準々決勝まで勝ち上がったこと
くみこと面倒を見た若い2人も順調に成長し

みんな
個人戦成績も
自己最高を更新したこと

そんな充実した思い出が頭の中に浮かんだ

なにより
Aチームのライバルチームと目される
川崎クラブを
あと一歩まで追い詰めたのは
良い思い出だ

きっと
あの健闘のお陰で
次の対戦で当たったAチームは
川崎クラブに勝てたのだと思う。

それでも
Aチームに対する下克上の思いを
個人戦でも団体戦でも果たせなかったことは
心残りに思い

Aチームが優勝チームとして表彰される表彰式を
内心悔しく思いながら見ていた

そして
一通り荷物を組み終わると

スマートフォンが鳴った
クラブの監督も兼ねる石黒富子から
明日はふんどしの他に廻しも用意して来て欲しいという
LINEが来ていた

こんな全国大会前に
選考試合?
たぶん
全国大会前の実践的な予行練習なのかな
不思議に思いながらも

廻しもカバンに詰めて

迎えた翌日

ふんどしではなく
廻しを締めこんで

集合時間頃に
富子のところにむかった


こないだ神奈川県大会で優勝を決めた
団体戦Aチームメンバーの場合全国大会の実践練習のために
廻しを指定されたのかと
ともよは思っていた

Aチームメンバーは全国大会で着用する神奈川県代表専用の青まわし姿で
Bチームメンバーはひとみとわかなの若い2人だけがふんどし姿

先週までBチームで共に力を合わせて戦った
いぬつか犬塚くみこだけが白い廻し姿だった

そして
小屋の中の長いベンチの
青まわし姿の石黒富子の座る横には
神奈川県代表だけに着用が許される
青い廻しが真新しい状態で置いてあった

すぐに
富子から
くみこと一緒に呼ばれた

ともよもくみこも
内容は勘づいていた

「Aチームのね、たかこが
妊娠してることがわかってね
、ここから1年ほど
おやすみすることになったの
代わりのAチームメンバーを
くみこかともよかどちらかということで
選考試合をやらせてもらおうと思ったんだけど
2人ともどうかなと思って」
富子は
探るように煽るように2人に言った

2人はすこし考え

「やります」
「やりたいです」

くみことともよは
ほぼ同じタイミングで答えた

それから
練習の始めに富子が全員を集め
「先日Aチームの優勝に貢献してくれた久根たかこさんがめでたくご懐妊されました。
それに伴い、国からクラブに補助金が入ることになりました。
でもAチームは全国大会前にメンバーが1人足りなくなるので
Bチームで頑張ってくれていた
犬塚さんと日下さんに
Aチーム入りを掛けた試合をしてもらおうと思います
勝った人がAチームに入るということで
皆さん、異議ありませんでしょうか」
問いかけると
クラブメンバーは承認を意味する
拍手で
賛成の意志を示した

そして
取り組みが始まった
主審役にでAチームキャプテンの
山崎はるみが就き
富子はベンチで見守る

はるみの合図で
ともよとくるみは土俵中央で
互いにぶちかましあって

ともよは
共にBチームを担った
くるみとの対決を悲しむかのように


はげしく張り手を撃ち合い始めた

本当はBチームが優勝して
くるみとは
一緒に喜びあって
全国大会に行きたかった

それでも
1か月前のAチームBチーム振り分けのクラブ内の練習や選考試合では
ライバル同士だった

限りなく全国への確率の高いAチームに入って
全国に出場し
より実力を磨いて
より高みを目指したいと
この9人の中で競い合ってきた

そして
チームの振り分けが終わってからは
Aチームが優先される、
限られた練度環境の中で
知恵を出し合い
力を合わせて4人で支え合いながら
練習を詰んできた

そんな盟友とも呼べる存在になっていた
くみこと
再び、こんな形で相まみえることになるとは

それでも
同じクラブの仲間でも
たとえ、どんなに仲のいい
親友同士でも同じ土俵にあがれば敵同士
そんな
湘南クラブの歴代の先輩たちの教えが
ともよの脳裏に浮かんだときに

くみこの張り手がともよの顎に炸裂した


ともよもくみこの頬をはり
ともよとくみこは
互いに互いに張り手を胸やみぞおちや肩などに
打ち合った

レオタード着用の女子相撲と
裸に廻し1枚のママさん相撲のスタイルの違いとして
ママさん相撲の張り手の激しさが
挙げられるが

この発祥は
湘南相撲クラブで
元々ボクシングやK-1などに精通していた
富子達が
取り組みのなかで
多用することになったことから

全国のママさん相撲愛好者の女性たちに普及して行った
という経緯がある

ママさん相撲は
元々
国が少子化を抑制するための給付金政策で
専業主婦になった主婦たちの間で
YouTubeがきっかけでブームになり
それで
出生率があがるなどしたことに
国が目をつけ
奨励金のような
競技登録者の給付金割増
さらには
公式大会での優勝祝い金
はたまた取り組みごとの勝利者への報奨金
として
お金をだすようになり

その結果
特に格闘技好きの主婦の参加も増えてきた
という流れがあった

そして
張り手も様々に多用されるようになった


くみことともよの
熱を帯びた
張り手の欧州は

くみこがともよの腕を捕まえてから
収束し

廻しを掴み合いながらくみこがともよの胸に顔を埋めての押し合いに
移行し

くみこが右に左にぐねりこみながら
ともよを押し込み
ともよは意地で組み止め
住んでのところで隙をつき
投げを打とうとしたところで

くみこは踏ん張り持ち直し

再び
互いの頬に張り手を打ち合い
張り手を交わしあったあと

今度は
正面から
胸と胸を合わせる形での組み合いになった

そして
経験の差で僅かな隙を
ともよがものにし
くみこを
土俵に沈めた


敗れて崩れ落ちた
くみこをともよは
抱き上げて立ち上がらせ
そして
2人は
健闘を称え合うように
抱擁を交わし合い

土俵の左右に分かれて
例を交わしあった

そして
それらを見届けた
富子は
「それでは
日下さんはAチームに入ってもらいますので
青まわしに着替えてください
犬塚さんはふんどしに履き替えて
ほかのBチームメンバーと一緒に
これから
全国大会までの
サポートも含めてお願いします」
と述べたあと
口調を変え
息を飲んで
この死闘とも言える取り組み
「いい?
わかったでしょ
おなじ仲間内でも
親友同士でも土俵にあがれば
敵同士
どちらかが負け
どちらかが勝つの
そして
Aチームのあなたたち
うかうかしてたら
そのうち
Bチームの子達に
抜かれちゃうわよ
肝に銘じなさい


では
これから
青まわしのみんなは
記念撮影したあと
申しあいよ
これで
団体戦の使い方決めるからね」

そして
練習場の空気は
張り詰め

湘南クラブの
全国大会制覇をめざす道のりが
また始まった。

2023年8月15日火曜日

久米さゆり 25歳

さゆりは

ママ友仲間で

ママさん相撲クラブの仲間でもある
岩田かすみの家に「出稽古」に訪れた

かすみの家では
どうにか相撲が取れるかくらいの広さのリビングで

さゆりも手伝って
テーブルなどの家具を隅にどかし

それから

服を脱ぎ、真っ裸になると
練習用のオレンジのふんどしを締め混んだ

クラブの練習や大会では廻しをつけるが
自分たちの家などで練習する時は

廻しでぶつかって家具などを壊してしまわないようにということと
生地が薄くて
洗濯してもすぐ乾くということで

ふんどしを着用することが一般的だ

かすみも水色のふんどし姿になった 

まずは2人で柔軟などの準備運動を行い
それから

ふたりは部屋の真ん中の大体の位置で蹲踞して向き合い

「それじゃ、遠慮なく行かせてもらうわね」
「ええ 、どこからでもかかっていらっしゃい」
そう軽口をたたきあうと

両手を着いて目で合図し合って

互いの元へ突進し合い

1度身体と身体をぶつけ会うと


さゆりは頬へ
かすみは喉輪に張り手を打ち込み

猛烈な張り手の撃ち合いになった

同じ日に今のママさん相撲クラブに入会して
相撲を始めた
さゆりとかすみ

土俵をおりれば
とても仲が良いが

相撲という1対1で
戦い競い合う競技に興じ

クラブの練習の申し合いだけでなく

同じクラブ同士でも個人戦で
トーナメントを勝ち上がっていくと

さゆりはかすみと対戦することがあるなかで
互いを意識し合うようになり

土俵で出会うと

お互いに
どうしても負けたくない相手と意識し合う間柄になった

個人戦や練習の内容によって
どちらかが団体戦メンバーに選ばれたり
どちらかが外れるということも出てきたので
その思いはひとしおだ

そんな思いをぶつけ合うようにして

張り手を防ぎ合ううちに
組み合う形になった

身体を上下左右に揺さぶりあいながら
組み合っていくうちに

僅かなすきをついてかすみがさゆりを転がし

この取り組みはかすみが勝った


何番も取り組みを行った




そして

あずさを保育園に迎えに行く時間が近づいてきたので

2人は部屋を元に戻し

麦茶を1杯ずつ飲んでから
さゆりはかすみの家を出た

そして
娘を車に乗せ
さゆりは

我が家に帰った

こういう
自主練習は

かすみと
何回かそれぞれの家でやっているが
 今日も

かすみに勝ち越すことができなかった
かすみは
このところ
初めて個人戦上位にくい込んで
徳島県代表の藍色のさがりつきの廻しを着けるようになるなど

最近
かすみに水をあけられている感じがする

家の物干しにワイシャツや下着やくつ下
と並んで
縦と横
2つにバラした
廻しが干されている光景は

ママさん相撲に関わる主婦の家の
物干し場の馴染みの光景になった

ママさん相撲の廻しは
当初期は
縦横一体型のものが主流だったが

参加する主婦たちの超えや
販売するスポーツメーカーの技術革新で
開発研究がすすみ

分厚さの割に風通しがよく
乾燥しやすい素材が
開発され

持ち運びや選択の容易さで

縦横分割タイプの廻しが
主流になった

つける時は縦からつけるか
横からつけるか
様々に付け方の意見が別れる


こうすることにより

よりコンパクトな荷物で
移動できるようになった

さゆりが
子供とお風呂に入っていると

「ママ、今日はお相撲だったの」
娘のあずさがさゆりの
相撲で赤くなった胸や頬やおでこなどを
みて聞いてくるのが
お風呂でのよくある会話になった
「そうよ、お相撲してきたのよ」
と、ゆかりは
子供でもわかるようになったのだなと
感心しながら答え
「ねえ 今日はかずきくんのママには勝てたの?」
などと
子供も聞いてくるようになった

それにしても
始めてみるまでは
張り手の打ち合いがこんなに
痛くて後が残るものとは
さゆりも思っても見なかった




土俵も
土のものから

安全性や
土が着かないということで

専用のウレタンマットが主流になった

最初は美容のためのエクササイズとして
始まったママさん相撲も

政府や自治体が
その美容効果から来る
夫婦間の営みの増加と
それに伴う出生率の増加に目をつけ

ママさん相撲に関わるようになった専業主婦への給付金の上乗せや
公式の大会での優勝賞金や
各取組毎の懸賞金などで


取り組みの内容は全面的に激しくなり

また
張り手の解禁などが

それに拍車をかけた


多くの取り組みでは
対戦相手のバランスを崩すのに用いられるが

ごく稀に
まるで

殴り合うかのように

激しく張り合い

片方が失神して崩れ落ちて決着する
取り組みも出てきた


翌日
かすみとの差を少しでも縮めたいさゆりは
県内の大きなスーパー銭湯に車を走らせた


洗い場で身体を軽く洗い
お風呂セットをカゴに入れて携えると
プレイスペースのウレタンの土俵に向かった

そこでは既に何人かの女性たちが
集まって
相撲に興じていた

周りのベンチに
お風呂せっとを置いて

まずは土俵のまわりで
摺り足や四股やストレッチなどの準備運動を行い

前掛けエプロンのようになった
大浴場の土俵専用のタオル素材のマワシを
締めこんだ

これは

対戦相手募集のサインを意味する

そうしていると

取り組みを終えて
勝った女性が
右手を上げてくれた

そして
さゆりは
右手を上げた

これで
対戦しましょうという約束が成立し

さゆりは
土俵に入った



さゆりは
招いてくれた
若い女性と

土俵中央をはさんで向き合った

廻しやふんどしにはない
股の間の開放感が

ワクワクを呼び覚ましてくれる
 
大浴場では
さゆりは
取り口を組四つに変える

大浴場の土俵では
競技としてママさん相撲をやっている人もいれば


完全なエクササイズやレジャー目的で
ママさん相撲に興じている人もいる

なので
張り手は控えめにするのが
エチケットになっている

もっとも
ママさん相撲クラブ参加者同士とお互い分かった上での取り組みでは

互いに申し合わせた上で張り手などを解禁にすることはあるが

ここでは基本的に
初心に帰って
胸と胸を合わせて組み合い
力比べや揺さぶりあいでの駆け引きに
終始する

時折
レスリングの様な潜り込む技を仕掛けられることもある

肌を合わせて組み合った時に感じる

裸の女同士の肌と肌が合わさって

押し合う感じ
堪らないと

さゆりは感じ
ママさん相撲をはじめたころの気持ちをおもいだすのであった
 

2023年7月16日日曜日

玉川さくら 27さい 子供2人

玉川さくらは
メイク机に座り
鏡に向かって
金髪の短い髪の髪型を整えてから
そのショートヘアの前髪を
ゴムひもで
ちょんまげのように縛り上げた

それをみた長男から
「ママ、今日はお相撲いくの? 」

「そうよ、よく分かったわね」

子供にとっても
さくらがこの髪型にすると

今日はその日だとわかるようだ

今日はさくらのママさん相撲の大会の日だ

ママさん相撲
子を持つ母親にのみ
許された土俵で

その裸体と裸体をぶつかり合わせて競い合う
スポーツ

参加する子持ちの女性たちは
政府の少子化対策の補助金政策で
専業主婦になった子持ちの女性たちが
参加を許される

格好は女子相撲のように
着衣の上から廻しではなく

裸に廻し姿で土俵に上がる

また
ママさん相撲クラブへの入会や
大会への参加など

ママさん相撲競技に参加していると
政府から認定をされると

その専業主婦への給付金が割増され
全国大会への出場などによっても
さらに上乗せされる

また
大会では
取り組みひとつひとつに懸賞金がつく

これらのお金で
子供の養育費などに充てる女性も多い

また
大会での活躍は
周囲からの名声の高まり

子供の有名私立小学校の入学試験の面接などが有利になることもある

それ故に

この子を持つ母親たちにのみ許された
「相撲」の土俵では

ある時期に解禁された
張り手などを交えた
激しい取り組みが多く繰り広げられ

時折 ボクシングなどのような
張り手の応酬で失神KOのような
決着を迎える取り組みも見られる

この土俵には
女たちの
お金
地位
名誉

女たちの望む様々なものが
その相撲の勝者には与えられる

 さくらは夫の運転する車で会場に入り
午前から団体戦に入ってママさん相撲クラブの仲間たちと
合流し
観覧席を確保すると


専用の廻しを抱えて支度部屋に入り
着ていた服を全て脱ぎ
専用の廻しを締め混み

女たちの体温で発散された体臭と日焼け止めの混ざりあった香りが渦巻く部屋の臭いで
これから相撲に望む気持ちを高め

紫外線から肌を守るための日焼け止めを塗りこんだ




着替え終わると

子供たちと相撲場のコンコースを散策した

コンコースを歩き回って
売店などを廻っていると

何人か

裸に廻し姿で
子供を連れた女性に出会う


さくらは
内心気まずい気持ちになる 

これから
こういう自分と同じように
子供を連れた女性と
対戦することになるからだ

それと同時に
様々な大きさや
若々しいピンク色から経験豊富そうな茶色まで色々な色合いが様々なの胸の女性たちを見て

さくらは
何故か闘志を掻き立てられるような
ワクワク感を覚える

もし あの女性たちと土俵で出会った時

どちらかが勝ち
どちらかが負ける

そういう間柄になる

そして
自分とあの女性で
どちらが上なのか

そう考えると胸の奥に沸き立つものを感じる

しかし
また一方
土俵の上は勝負の世界

勝った方の母親の子供たちは勝ちを喜び
嬉しい表情をするが
負けた方の子供たちは悲しい表情を見せる

その女性と土俵で相対した時に

その女性とその子供たちとはそういった間柄になる

自分はあの女性に勝てるのか負けるのか
そういった不安感に苛まれもする

そうこうしてるうちに
取り組みの時間が近づき
とさくらは
子供たちを夫や仲間たちに預け

土俵際の控えの席に座り向こうに座る女性を観察した

この次の取り組みでさくらと対戦する女性だ

そして見ていた取り組みが終わり

さくらは土俵に入った

対戦相手の女性も
長い髪ゴムひもでキリりと束ねあげて

中央に背を向けて1度だけ四股を踏み

土俵の仕切り線の位置で

相手と視線を交わらせつつ

両腕を広げ
相手とタイミングを合わせるように柏手を
打ち

仕切り線に両手をつき

審判の合図で

相手の女と組み合った

手で相手の廻しに手を防ぎ合うように

手と手で押し合い

その後

レスリングのように
低い体制で
組み合った後々

胸と胸を合わせる形で

廻しを掴みあって組み合った


相手の女の身体の臭い
化粧や日焼け止めの香りを
感じながら

自分の体の圧力を相手に掛けながら
相手の身体の圧力を
自分の体で
受け止める力比べをして

して
膠着するかに

思われたが
どうにか
持久力の差で
相手を押し出して

さくらが
勝利を納め

審判の女性から

懸賞金の入った封筒を受け取り

観覧席の家族や仲間たちがいる一角へと戻り

夫に懸賞金の封筒を渡し

スポーツドリンクの入ったペットボトルと
タオルを受け取り

下の子の長女を膝に乗せて
夫が懸賞金で買ってきた
彼女の大好きなりんごジュースを飲ませて上げながら次の取組に向け
心を整えていると

さっきの対戦相手の女性とその家族の様子が
目に入った
下の子が泣き叫んでいる

どうやら
懸賞金で買ってもらう約束をしていた
アイスを買って貰えずに
泣いているのだろう

それを見てさくらは勝負の世界の厳しさ
を思った


そして
次の取組の時間になり

さくらは
控えの間に向かった

次の対戦相手は
さくらより少し若そうで
いかにも
動きの早そうな
ショートヘアの赤髪の女だった

取組の番が来て
土俵際に立ち

目を合わせて
目礼して
土俵に入ろうとしたが

相手の若い赤髪の女は
目を逸らして来た

さくらは
少しムッとした

そして
所作を終えて
取り組みに入る

組み付いてまわしを取ろうとするさくらに
相手の女は両腕を畳んで
ぶつかって来た

さくらの身体は少し後ろに弾け飛んだが
弾けざまに
相手の頬に
張り手を打ち込み

相手の赤い髪の女も

さくらのみぞおちに強烈な張り手を打ち込んできて
しばらく

まるで
殴り合うかのように
張り手の欧州になったところで
相手が
さくらの胸元に額を押し付けて
前みつと
後ろのまわしを掴んできた

さくらも
相手の後ろ廻し両手で掴み

右に左に回転しながら
押し合う形になったが
最後はさくらが

どうに相手の足を浮かせて
土俵の外に投げて

どうにか
2つ目の星をものにした

そして
クラブの仲間たちの元へ戻ると

少し
重苦しい空気に包まれていた

次の対戦が
さくらと
その同じクラブの
石綿 さゆり
との
同じクラブのメンバー同士の対決に
決まったのだった


同じクラブとメンバー同士の対決
初戦などでは
主催者の配慮などにより
早々には起こらないが

同じ個人戦トーナメントにエントリーし
何人か勝ち上がって行けば時折起きる

同じクラブ内のメンバー同士と
気まずくはなるのだが

さくらは内心燃えていた

さゆりは団体戦にメンバーに入って
今日の午前もそれなりに活躍し

さくらは
その団体戦メンバーの5人に入れないことが
多いからだ

ここで
さゆりに勝てば
次は自分もメンバーに入れるかもしれない

そんな気持ちで
さくらは燃えていた

また
さゆりも
逆に
ここで勢いに乗るさくらに負けるようなことがあれば
団体戦メンバーが危うくなるかもしれない
危機感を募らせていた

同門対決は
クラブの練習から
続く
クラブ内の
団体戦メンバー争いや
その他様々なパワーバランスに
影響する
 それ故に

より
火花散る対決になることがある

そして
迎えた
さゆりとの
対戦

さゆりは
彼女の娘に
髪を三つ編みにしてもらって
勝てるようにおまじないを
してもらったようだった

さゆりの
大きく美しい胸元へ
猛然と突っ込むさくらへ

さゆりは
左手を突き出して
のどわを
張り

さくらも
それに応えて
張り手を交換して

何回か張り手を
交えたあとに

さくらは
さゆりの両腰の廻しをつかみ

さゆりもさくらの廻しを掴んで

吊り上げ合いなどで
意地の張り合いを展開し

それから
互いに意地でも廻しから手を離さず
胸と胸を合わせて組み合うなどし


最後は
さゆりが
経験の違いを
見せつるかのように
さくらを土俵に叩きつけるかのように
投げを打ち


さくらは
同門対決に敗れた

そして
席に戻り

悔しさでさくらが泣いてると
子供たちから慰められ

さっき
闘ったさゆりから
「あんた やるじゃないの」
ペットボトルのコーラを手渡された

さくらは泣きながらそれを受け取り
「さゆりさん、次は負けませんからね」

「あたしだって負けないよ
次はあんたに格の違いを見せつけてやるわ」


それから

さゆりは
さくらから力をもらったかのように勢いづき
最後は敗れはしたものの
決勝まで勝ち進み

同クラブ初の
全国大会出場を手にした

そして
その
取り組みから
あの
クラブの先輩をあと一歩まで追い詰めることが
できたことでさくらは自信をもち

団体戦メンバーは

頻繁に個人戦でも優勝争いを繰り広げられるまでになり

さゆりとさくらは
より
お互いを認め合うようになり
クラブの練習の3番稽古などで
頻繁に腕を磨き合う間柄になり

個人戦の決勝戦で
さくらとさゆりの対決が繰り広げられることも
増え

2人の居るクラブも
その
相乗効果で
時折、団体戦でも
全国大会に顔を出すまでに成長した。





2023年5月29日月曜日

野田あきな 26歳 子供1人

とある週末の朝 あきなは夫と子供と共に 伊豆温泉に向かう特急列車サフィール踊り子の
グリーン席に腰掛け つかの間の団欒の中に居た

とは、いっても普通の温泉旅行ではない

招待されての旅行なので、普段の家族旅行とは少し 勝手が違う

あきなは 会社員として勤務していたときに、今の夫と結婚し
出産し
国の専業主婦に対するそれまでの収入と同等額以上の金額を給付し少子化を抑制しようとする国策を
利用する形で仕事を辞めて専業主婦になり、

子供が保育園に通い始めた頃から
ママさん相撲を始めて、3年がたとうとしていた。
最初はママ友から団体戦の人数が足りないからと誘われて始めてみた

最初はやはり 裸で回し姿になることに、強い恥じらいを感じたが

それに慣れると

駆け引きや肌と肌を介した気持ちのぶつけ合いなど
相撲の面白さに魅了されていき

相撲の実力も着実に伸びていき
大会での優勝こそまだ果たせていないものの
次第にママさん相撲YOUTUBEや新聞等のメディア等からも注目される存在に成長し

今回の若い有望なメンバーを関東の各都県から招いて行なう合宿イベントへ招待された。

朝の10時過ぎに温泉街に着くと
家族で街中を散策し

昼食まで済ませ

12時に会場のリゾートホテルに入って支度を済ませると
併設されたアリーナに入り
マワシを締め込んで
受付を済ませた

土俵には
関東の7都県から選ばれた14人の女性たちが集まり

そして
観客席は
普段と違い
周辺クラブメンバーなどのママさん相撲関係者
外部の観客
周辺住民

さらにはマスコミ関係者など
選手家族以外で

ほぼ埋まった状態になり

大相撲のような賑わいを見せていた。

中には
埼玉県内の大会で
何度か対戦したことがあり
1度しか勝てたことがない
垣内ちよみの姿も見つけた

そして
主催者の連盟役員の女性から
今日と明日の概要の説明がされ

そして
最後に
「今日は同じ県内の普段はライバルとして
凌ぎを削っている人とも一緒に練習などをする事になると思いますが
せっかくなので
同じ都県の人との取り組みは控えて
他の都県の人と積極的に対戦してみてください
ということをお願い申し上げて締めくくりとします」

という結びの言葉と共に
ウォーミングアップ程度に

四股やすり足などが始まった

そのあと
東西対抗形式の
西と東に分かれて
それぞれにぶつかり稽古と
申し合いが
東西交互に
始まった

東西の割り振りは
全国優勝の常連とも言える神奈川からきた2人が
東西の横綱のように左右に分かれ
あとは
いかにも
拮抗しないように
各都県の代表を割り振ったような感じだった
そして

もう1人の埼玉県代表のちよみが
東西に割り振られたうちの
神奈川代表の1人との
対戦相手に選ばれていて

自分は
千葉県代表の人との対戦になっていて

そのことに
あきなは少し嫉妬を覚えた

そしてちよみとは
「垣内さん、神奈川の人たちまるで
横綱みたいな扱われ方してますよね
あの東西の割り振り方」
「そうですよね悔しいですよね」
「やっぱり湘南クラブさんが頻繁に全国優勝してるからなんですかね」
「野田さん、見ててくださいね
私が神奈川の今迫さん倒して
埼玉は強いって、見せつけてやります」

このやりとりが
却って
あきなのちよみへの嫉妬心からくる
ライバル心に火をつけた

いつも対戦した時は
互いに負けん気の強さからか
粘り強く手数の多い相撲になり

水切り間際までの互角な内容になる

それでもあきなは
星の数こそちよみの方が先んじているが
いつか
自分があきなに勝って
全国にも行きたいと思っている

そんななかで
埼玉を代表しているのは
自分と宣言されたような気分に
あきなはなった

それで
申し合いの時は
自分のクラブの練習でよくやるように
ライバル意識を抱く
ちよみの番の時に
積極的に申し込んで行って対戦しようと思ったが
役員の
あの言葉を思い出し
踏みとどまった

この申し合は
東西対抗で
同じ
西側のチーム同士とはいえ

同じ県内同士では普段は年などが近い
ライバル同士でも応援しあい

自分の都県のプライドを掛けた
対抗戦のような空気が流れた

あきなも
普段
なかなか対戦できない東京の人の冷静な取り口や
電車道のように力強く推し続けてくる
栃木の人や
レスリング技のような動きを交えた
神奈川の人などとの
対戦を楽しんだが

それでも
応援しあいつつも
常に
ちよみの勝ち負けが気にかかっていた

結果
あきなは3勝5敗

ちよみは4勝4敗

というような内容で
申し合いを
終え
今度は
練習用の白廻しから
各都県のシンボルカラーの廻しに
化粧膜をつけた
化粧まわし姿に着替えて
子供を抱き抱えたりして
全参加者で記念撮影を行い

東西それぞれで記念撮影を行い

そのあと
それぞれの
都県毎で
2人ずつ
それぞれの都県の相撲連盟の広報担当者から
記念撮影や
座談形式でのインタビューが
行われた

2人で
子供を抱いた状態や
化粧まわしをつけて
組み合った状態や
 
笑顔で張り手など
様々なポーズで写真撮影を行い

そのあと
ちよみと対談形式でのインタビューになった

—今回は関東の各都県の若手同士の交流の機会をと期待の若手ということでお2人にこの合宿にご参加頂いたわけですが
普段とは違うメンバーで練習などして如何ですか?

ちよみ
「やっぱり
神奈川がママさん相撲界の横綱みたいになってる感じがして
それはどうかなと思うので
私が今日神奈川の人に勝って
見返そうかなと思います」

あきな
「私は
その神奈川の人との対戦相手に選ばれることは無かったので
明日の個人戦トーナメントで
垣内さんと対戦するところまで勝ち上がって
神奈川の人を倒した垣内さんに勝って
埼玉の強さを証明したいかなと思います。」

—おーー いいですね ここでも同じ県内同士で火花散らしてますね

あきな
「いつも、もうちょっとのところで垣内さんに負けてるので
今回は垣内さんの弱点を見つけて
これから勝っていくきっかけにと思ってます」

ちよみ
「私も野田さんとの対戦では、いつもかなり手こずってるので
野田さんを研究して
もっと楽に勝てるようにしたいなとも思ってます。」

—助け合いつつも
そういったしたたかな考えもお持ちなんですね
ところで

おふたりとも出産1年以内の女性同士の白相撲の大会は経験されてないということで
こういった化粧まわしや
さがりつきの色廻しをつけての相撲などは
初めてかと思うのですが
どういったことを感じられていますか?

ちよみ
「裸に色廻しつけて、化粧まわしの状態になって
いかにもお相撲さんになったなという感じがします
でも、だからこそ
1つでも多く勝って子供たちにいいとこ見せたいなと思います。」

あきな
「垣内さんの言うように
お相撲さんになったなという気分ですね
それと
やっぱり
垣内さんの言うように
かっこよくて強いお母ちゃんを子供に見せるために
勝ちたいなという気持ちが強いですね」

—ありがとうございました。
ここからの東西対抗戦や
明日の個人トーナメントのご健闘を
祈ってます

それと
ご家族の時間等も楽しんでください

あきな、ちよみ
「ありがとうございました。」



それから
あきなは
ちよみと分かれて

支度部屋に入り
まわしの垂れ幕をさがりに付け替えて
準備を整えて行った

埼玉県の連盟のチームカラーの色鮮やかな水色の廻しに
さがりがついているのを見て

なんだか大相撲の力士になった気分になった

だが
やっぱり

下がりをたくしあげての立ち会いは
普段の取り組みと感覚が違いそうに感じたので

夫に相手になってもらい
何度か
立ち会いの一連の流れを練習した。

そして
今日の東西対抗戦の取り組みが
東京の磯野ひろみと茨城の岩崎千尋の対戦で始まった。

東西両側の仕切り線にしゃがんだ2人の若い女は
子供などからの声援を受け
黒とオレンジの
さがりつきの廻しを締めこんで土俵に上り

外を向いてそれぞれに軽く四股を踏んだあと

真っ直ぐに互いを見つめ合って目礼を交わし


さがりの細い線を
左右にたくしあげて
しゃがみ

柏手を打って


背筋を伸ばして
向き合った


廻し1枚の姿で

若い女性特有のハリのある肌は
若い女性ならではの色光を帯び

大きく突きだした乳房の
膨らみは

母としての決意の強さを讃えているようだった。

そして
両者手を付き
審判の
合図で取り組みが始まり

オレンジの廻しの女は
猛然と組みかかり
それを
黒の廻しの女が
オレンジの女の顔の前に伸ばし出した左手で
オレンジの女のバランスを崩し

今度は黒の廻しの女が組みかかったところを
オレンジの廻しの女が
黒の廻しの女の頬を強く張り

黒の廻しの女もみぞおちに張り返し


何発か張り合ったあと
廻しを掴みあって組み合いに持ち込み

右に左に上に下に
乳房と乳房を密着した状態で
激しく組み合い
組み合いの激しさでサガリを落としながら

オレンジの廻しを締め混んだ
茨城の女が

黒の廻しの東京の
女を押し出し

オレンジの廻しの岩崎ちひろが
蹲踞して
目録の封筒を受け取り

子供と夫の待つ観覧席に引き上げ

敗れた黒色のまわしの女も
夫と子供たちに付き添われて
自分の席に戻った。

そう、こう、しているうちに
あきなの出番が近づいてきた

あきなは
廊下でさがりつのいた廻しを締め込み
頬を叩いて
気持ちを取り組みに向けた

いつもとは違う
水色の廻し

そして
暖簾のように垂れ下がった
さがり

いつもの相撲とは
全然違って見えた


呼び出しの声に促されて
あきなは土俵に入った

対戦相手の千葉の女もサガリの付いた赤い廻しを締めこんで土俵にはいってきた

相手の女もあきなと同じぐらい
小柄な女だった

あきなは最初
懐に潜り込んで
足を取りに行こうと
考えていたが

立ち会い

相手の女の体の大きさを見て
あきなは

正面から組み合って戦うことを決めた

あきなと相手の赤い廻しの女は
立ち会い
互いの腕や肩に張り手を打ち合い
主導権を探りあったあと

互いに互いの張り手を防ぎ合ううちに
力比べのように
手で二の腕を押し合う形になり

体格差の少ない2人の押し合いは
拮抗し

上下に揺さぶって
バランスを崩しあいを図るも決着せず





胸を合わせて
廻しをつかみあって
組み合うかたちにもつれこんだ


くみあいながらも

上下に左右に様々に
体制を入れ替え

投げに入れる体制を
奪い合うように探り合い
ながら組み合った

廻しを引き付け合い

乳房や腹などから伝わり来る互いの体温や
強い腕の動きを
感じ取り合いながら

完全な主導権は互いに渡すまいと
意地の張り合いのような
膠着が続いていたが

あきなの右手がどうにか
相手の赤い廻しを捕まえ直し

赤い廻しの女を地面にたたきつけ

蹲踞をし
審判から祝儀金の入った封筒を受け取り

子供と夫と
自室に引き上げ
シャワーで取り組みでついた砂と汗をながし
部屋のテレビモニターで自分のあとの取り組みを見ながら休んでいて
気がついたら
疲れからか眠りこんでいた。

ちよみの取り組みを見ようと
ソファに腰かけて
モニターを見ていたのに

そして
夜になり
夜の晩餐会の時間が近くなり
夫に起こされた

夫からはちよみは
負けたと聞かされた

県内で最大のライバルと意識する相手の取り組みを
この目に焼き付ける機会を逸したことをあきなは悔やんだが

同時に
千代美は負けたが
自分は勝ったということで
少し乙に浸った

急いで
化粧を直し
短パンとTシャツ姿から旅館の浴衣姿に着替えて
会食会場に向かった

ビュッフェ形式の食事会には
参加選手や
その家族

各県の相撲連盟の役員などが
一堂に会し

思い思いに談笑したり
食事を楽しんだりした。

あきなは多くの連盟役員が
ねぎらいの言葉を
かけに来た

また
対戦相手の東京の女性とも
談笑し
こどもたち共々すっかり仲良くなるなど

他県の様々な選手と談笑し
交流を深めた

同じ県のちよみとは
会食中
一度も話すことはなかったが
あちらもそれなりに楽しそうに
過ごしてる様子が見て取れた

そして
会食が終わり

ふと
そこでかいた汗を流そうと
子供たちを夫に任せて大浴場に行き
湯船の中で瞑想にふけろうとしていると

ちよみもお風呂に入ってきた
そして広い浴槽に入り黙ってあきなの横で座ると
「今日は もうちょっと 稽古したいな」

今日 本番ともいえる一番で負けた鬱憤のたまっている
ちよみはあきなを煽るように言ってきた
「あら 熱心ね」
「あなたが勝って 私が負けちゃったんですもの 尚更ね」

あきなもちよみが自分より強いメンバーとの大事な取り組みを任された
嫉妬心などからくる対抗心でこう返した
「わたしもちよみさんに勝って全国行きたいから
稽古しなくちゃね」
「ちょうど いいじゃない
いま ここで3番稽古なんてどう?」
「いいわね この広いお風呂の中でお相撲
楽しそうじゃない」

「私に負けてあなたがおぼれ死なないか心配だけど
このスリルがいいのよね きっと」
そう
互いのライバル心や嫉妬心からくる
売り言葉に買い言葉のようなやり取りの後

二人は
大きな湯船の真ん中で手をついて
から
組み合った

どちらかが投げを打って相手湯船に沈めれば
もう一方もその次で
投げ返し

貼りても激しく打ち合い

胸を合わせて激しく組合い

さらに腕四つの力比べなど
さまざまな形になって
何番も何番も対戦し

ついには
興奮した千代美の肘が
あきなの頬に強く当たったことで
あきなも
こぶしの突きを相手の
頬に見舞い

それに怒った
ちよみは蹴りを
何発も返し


ついには浴槽のそとで
喧嘩のような組み合いになり
どちらかが上になり下になる 

取っ組み合いに
なり

それぞれ息を疲れたところで

座り込み

それぞれの部屋に帰っていった

あきなは千代美には負けたくない気持ちを
より強くし

2日目の個人戦トーナメントに臨むのだった。

2023年3月23日木曜日

産後1年以内の母親たち同士による母乳と汗にまみれた相撲大会

ベビーカーを押した母親たちが大きなホールへと入っていく

自治体が
その年に出産した母親向けに開催しているフォーラムの日の風景だ

そして
大会議室では
専門家を講師に招いて
子供の食事やメンタルヘルスなどの
講座が催される

その後

何人かのグループかに分かれて
座った母親たちは
上半身裸の姿になって
保健師などを交えて
母乳などについて懇談会を行い

互いの胸や乳房などを触りあい
それぞれの母乳を飲み比べ合うなどしながら

食生活や健康について
話し合いながら考える


そして 
このあと  
 
記念会食のあと

母親たちは
化粧まわし姿に衣装直しして我が子と記念撮影を行い


そのあと
専用にあつらえられた
赤いウレタンマットの土俵で

五穀豊穣と家内安全と子孫繁栄を
願う
母親たち同士による相撲大会が
開催される

この相撲大会には
国内外の各企業などから
様々な景品が提供され

優勝商品には
新車の車や最新パソコン
などが提供され
参加賞も
とても豪華なものになっている
   
それ故に取り組みは
本当に真剣なものとなることが多く 

またママさん相撲の普及などに
配慮し

少しでも多くのは母親たちに取り組みまで参加しやすいようにと

普段からママさん相撲の競技に参加している母親たちの部と

普段は相撲をしていない母親たちの部に分けて

開催する自治体も多く増えてきた

また
このクラス分けにより


普段、相撲に取り組んでいない母親たちを
ママさん相撲関係者が
教えて面倒を見るというシーンも
多く見られるようになり

その世話してもらったら上級者を初心者の母親が応援し
交友を深めるシーンもよく見られる

また
取り組みは
女の意地や
いい商品欲しさに
初心者、上級者とわず

かなり
真剣なものとなり

初心者は
母乳と汗を滴らせながら
真剣に組付き合いながら勝利を目指し

上級者は
さらに
時折張り手や
レスリングのようなスタイルなどを交えた
よりテクニカルなスタイルで
取り組みが行われ

赤い土俵に
白い母乳が散らばった光景から

この相撲大会は
紅白相撲や
白相撲とよばれ

いつしか
開催される
3月の季節の風物詩となり

毎年 テレビニュースでも取り上げられるようになった

また
優勝した母親は

横綱の綱を付けた化粧まわし姿で
記念撮影する権利も与えられ
様々なところに
掲載される。

2023年3月20日月曜日

母乳の楽園 Refine

里中よしこは
生後半年の我が子を実家の母親に預け

電車に乗りこんだ

今日はとある単発の高額アルバイトの日だ

集合場所のスタジオに着くと
案内係のスタッフに案内され
よしこ1人に1部屋宛てがわれた控え室に通され
そこでよしこは服を全て脱ぎ
手渡されたショーツを履き
バスローブをきこむと

スタッフにスタジオに案内された

スタジオのフローリング張りのリビングには
セットされたカメラや音響機材などと
それらを扱うスタッフらが待機し
よしこと同じように
生後2歳まで子供を持ち
母乳が出せる 20代から40代までの女性が
よしこ含めて6人バスローブ姿でスタッフから
説明を受けていた

そして
撮影が始まる前に
6人の女性たちは
促されるままに
バスローブを脱ぎ
ショーツ1枚の
胸を露わにした姿
指定された席順で
フローリングに座り

まずは自己紹介を交えた
座談会を行い

母乳の出具合や
姑との関係
はたまた
子供の発育状況などについて
話し合い

そのあと
ゲームコーナーの時間に移行した

ゲームコーナーの時間では
年齢の近い2人でジャンケンをして
紅チームと白チームに分かれて

母乳飛ばし対決を皮切りに

カルタ取り対決や
綱引きや
玉入れ
腕相撲
などのゲームで
対決し

母乳を使った料理対決のあと

チームごとに
インタビューが行われ

ゲームの振り返りが
行われ

昼食を含めた
昼休みの後

スタッフが着て廻しを
一人一人着用しながら
午前中の振り返り
昼からの相撲の個人戦に向けた
誰に負けたくないか
などの
インタビューが
行われ

チームの枠を取り払った
総当たり戦が行われた

相撲は何番かの練習取り組みなどの後に行われた

母乳の出る女性同士が
組み付き合って
体を密着させ合って
戦い合う感触や

取り組み1つ勝つごとにボーナスがあることや
スタッフのインタビューなどを通した
巧みな雰囲気作りで
よしこたちは
相撲に夢中になって取り組み

近い関係故に色々あるからか
昼間に同じ組だった人同士の取り組みが
白熱した取り組みになることが多く

また
40代対決など
歳の近いもの同士の取り組みもまた
非常にエキサイトした好取組が多数見られた


そして

そのあとは
少し休憩をはさんだあと

レズプレイや
男優さんとの絡みやハメ撮りなど
それぞれの撮影を
終え

よしこたちの
裸の高額アルバイトの1日は流れて行った。


2023年2月27日月曜日

新○さんいらっしゃいから妄想したテレビ番組的なやつ

2組のカップルまたは夫婦が
夢を叶える資金を得るために9つのゲームで
対決する人気番組がある

このご夫婦は
マイホームの購入資金にと
奥さんが旦那さんに持ちかけて
相談して
この番組に応募した。


そして
書類審査を通り番組ディレクターと面談した

ディレクターからは夫婦の関係性や
番組参加への意気込みなどを聞かれた

面談の後
合格ということなのか
集合場所と時間や
番組の進行内容
などが書かれた台本が送られてきた

いつもテレビなどで見る内容の通り
男性はトランプやリバーシなど
頭を使ったゲーム対決し

女性は
ミルクボクシングや百人一首など
身体を使うゲームで対決する

そして
男女合流したあとの
相撲対決では女性が
男性より1番多く取り

最後の取っ組み合い対決 は
女性が行うという
男性が頭を使うゲーム
女性が体を使うゲームを
主体で行う内容で

いつも番組終わりに
授与される勝った方の夫婦への賞金の他に
それぞれのゲームごとに賞金があるという
ことが記されていた。

それから

夫と一通りのゲームを 練習した

そして当日

スーツ姿で収録スタジオに入る

相手方の夫婦と

司会者を挟んでトーク

相手方の夫婦は
子供の私立小学校の入学等の資金のために参加しているらしい

夫婦の馴れ初めなど
様々なことなどをトークした
この
最初のトークから
双方の気が強い夫人同士で
少しずつジワジワ
牽制合戦が始まった

この番組は
気の強い奥さんのいる夫婦の
出演が多く
夫人同士の徐々に激しくなる
やりとりも番組の見どころのひとつに
なっている

それからゲームの収録が始まり

男性陣は
部屋に残り
リバーシやトランプなどをする流れで

女性陣は
別室へ案内された

まず最初の対決として
スーツ姿のまま百人一首かるた対決が執り行われた

最初はおしとやかに
見つけた札をとって互いにポイントを稼いでいっていたが

取る札が僅差でかち合った時は
正規のルールに乗っ取り
双方の話し合いでどちらの札か
決まるので

「私のです」
「いえ私が取りました」
言い合いが
双方熱くなり

ということが
なんどかありつつ

僅差で決着し


それぞれ夫同士ののリバーシの対局の様子を見ながら司会者を交えて
さっきの百人一首の振り返りなどのトークを した
さっきの百人一首対決の興奮冷めやらぬ中
最初は
終始、平静を装った空気で2人の夫人のトークが始まったが
司会者が
勝った夫人と負けた夫人を
絶妙に煽ったりして
2人の夫人のまだ隠そうとする闘争心をじわじわ引き出し


そのあと
下着姿に着替える夫人2人にそれぞれ
スタッフが同行し
身支度を手伝いながらインタビューし
それぞれの夫人から
相手の夫人への
「あの人に勝ちたいです」
「あの人気に入らないです」
という
言葉を引き出し

ゲームは

ツイスターゲームに移行し

それぞれに
わざと相手を邪魔するような位置を選んで手足を置きあい

それぞれに勝ちたい気持ちをぶつけ合い

片方の夫人がバランスを崩して敗れたあとで
もう片方の夫人がしたり顔で
その夫人を見つめ

また男性陣のジェンガ対決の様子を見ながらトークに入った
また司会者が
「勝ちましたね、この賞金はどうされるんですか」
とか
「残念でしたね、夢の~が遠のきましたね」
とか
前回のトークより激しく煽り

そしてミルクボクシングのセットがある
リングのスペースへと
案内され
2組の夫婦の奥さん2人は
ブラジャーを外し
パンティー1枚の姿になり
 
それぞれに
インタビューされながら
スタッフに手伝われて
専用のボクシンググローブを装着し

それぞれのインタビューで
「あの人をぶっ飛ばしてやりたいです」
「あの人をボコボコにしてやります」
という言葉を引き出して

同量に計量された牛乳を口に含んだ
状態になり
上半身裸になった2人の夫人が
リング上で向かい合った

2人の夫人は冒頭から
激しく殴り合い

また
それぞれの夫婦の夢のため
口の中のミルクを一滴も零すまいと
口を閉じ
それでも相手の口を開かせようと
はげしくパンチを浴びせあった

そして
女の意地と意地が真正面からぶつかりあった
殴り合いは
決定的な決着は付かず

口の中からミルクを吐き出しての
判定にもつれ込んだ

口に残った
あるいは
飲み込んだミルクの差で

一方の夫人が勝利し

もう一方の夫人が
敗れ
続く相撲対決での雪辱を
厚く誓うのであった。



男性陣と合流し
カップル毎に控え室へと案内された
ボクシングで勝った夫人の夫婦は
得意満面に夫と再開し

敗れた夫人の夫婦は
泣き崩れる
妻を夫が慰めて
雪辱を誓い合うところから始まり
スタッフに手伝われて
それぞれに男性も女性もふんどし1枚の姿に
着替えて
その後
それぞれにインタビューした

相手に聞こえないのをいいことに
それぞれの夫婦が

闘志を前面に出した受け答えをしたあとに迎えた

 相撲対決
夫たちは
妻に不甲斐ない闘いは見せたくないと
意地をぶつけ合って激しい取り組みを繰り広げ

その後
夫人同士の
2番勝負にもつれ込み

土俵上で2人の夫人が
闘志むき出しで睨み合う

そして激しくくみあいながら
主導権を探り合い

ボクシングで敗れた夫人が勝った夫人を
投げ飛ばして
1番目に勝利し

2番目は

それぞれに意地をぶつけ合い長い相撲になりながらも
胸と胸を重ね合わせて押し合い

意地と意地の対決を片方が制し

敗れた方は最終決戦での雪辱を期すのであった


そして
取り組みを終えた夫人たちは
それぞれの夫に解放されながら
取り組みでついた砂などを洗い流し
ふんどしを解き
全裸姿になり
最終決戦への身支度を整える

そして迎えたフィナーレの
夫人同士のキャットファイト対決

四方の松明に照らされたフィールドの中で
2人の夫人が一糸まとわぬ姿で向き合い


まず最初に数発ずつビンタを交わし合って
対決が始まり

力比べの取っ組み合いから
胸と胸を押し付けあって

押し合い

その後組み合って
倒れ込み

転がりながら上へ下へと体制を入れ替えながら
闘い

上になった女が
下の女を引っぱたいたり

髪を引っ張って地面に叩きつけたり

下の女負けずに引っぱたき返したり

また転がって上下入れ替わったり

また
立ち上がって
相撲のように組み合ったり

それぞれの家族の夢のために
女と女が繰り広げる
夫人同士の決闘の様相を呈したこの闘いは

片方が気を失い

片方がどうにか
意識を保っている形で
決着の時を迎え

勝った夫人も
負けた夫人も

それぞれの思いを胸に

夫たちに抱き抱えられて介抱され

それぞれにスッキリとした表情で
握手と抱擁をかわし
幕を閉じた。

それぞれの夫婦は
様々なゲームで勝ち取った賞金と
より深まった絆を携えて

帰り支度をし

帰路につくのであった

2023年2月11日土曜日

井筒 あけみ 27歳 子供1人

 あけみはママ友のよしかに誘われて
カルチャーセンターの子育て講座に子供を連れて参加した

結婚して子供ができると
国の少子化対策本部が実施する給付金政策を頼りに
それまで勤めていた外資系IT企業を退職し

「専業主婦」として
家事と育児に追われる日々を過ごし

子供が3歳になり保育園に入園し
落ち着いた日々を過ごし

同い年で子供も同じ保育園に通う
今宮よしかといろいろ境遇が近く
気が合う友人同士になった。

よしかと行ったこの講座では
母親向けの運動健康講座があり
よしかはこれも受けたいという

渋々

あけみもよしかと一緒に受けてみることにした

この講座では
出産や育児で凝り固まった身体をほぐす
体操やストレッチに始まり

上半身裸になっての
母乳の出をよくするためのおっぱいマッサージの話になり

それから

スキンシップを通した美肌効果と健康促進効果がある運動として

「 専業主婦」たちの間で定番のママさんスポーツとなっている
「ママさん相撲」が紹介された

まずは
相撲の健康効果をこと細く解説する
映像が流れ

ゲームの流れや
楽しみ方が
ながれ

1人の主婦を主人公にした解説ドラマが流れた

その主婦が子連れで銭湯を訪れて
そこで偶然、風呂場の中の土俵をみつけて
見に行くと
女性たちが真っ裸で腰に帯のようなタオルを締めて相撲に興じていて
その主婦も
誘われて相撲をやってみる流れになり
一緒に相撲を楽しむというドラマで

この中で
腰巻きタオルの締め方や
相撲を取る時のマナーや
公共の土俵では
張り手などの危険な技は禁止であることなどの解説も盛り込まれていた。

そして、

土俵のある銭湯や、体育館やスポーツジム、公園、神社などが紹介された

そのあと
本気でママさん相撲を相撲をやりたくなったらという

字幕が画面に映ったあと

ママさん相撲のプロモーションのような映像が流れた

裸に廻し姿の女たちが
張り手などを混じえて激しい取り組みをし
相手の女を押し出したり、投げ飛ばしたりして
勝った女が
懸賞金を受け取り

仲間たちから祝福されながら
観客席に戻り  出迎えてきた子供たちと抱擁を交し、勝利の歓びを分かち合い

負けた女が土俵を叩いて悔し涙をながすど

熱いシーンを流し

さっきの映像の取り組みで勝った女性や負けた女性を含めた相撲大会の参加者に
取り組み直後にインタビューし
ママさん相撲の魅力や
始めたきっかけなどを
聞き出し

その後
各地のママさん相撲クラブや
各種大会の紹介が流れ

ママさん相撲のDVDは終わり


さっきのママさん相撲のDVDのドラマで
主人公の主婦が付けていた腰タオルなどを含めた
参加記念品が 講習参加者に配られて


あけみはよしかとカルチャーセンターを後にした



それから数日後

あけみがよしかの家で
子供をあやしながら
お茶して話していると

よしかが
「ねえ、ちょっとお相撲取ってみない? 」
言ってきた

あけみも少し渋々ながら面白そうだなともおもってはいたので
ちょっと相手をしてみるつもりで誘いに乗った

あれからあけみもなんとなく
こないだ自治体からもらった赤い腰巻きタオルをいつものバックに忍ばせていた。


あけみとよしかは
リビングのテーブルなどをどかし

リビング相撲がとれるスペースを作った

土俵は適当に敷いてあるじゅうたんで
ということにした

2人は
服を脱ぎ始めた
女同士とはいえ

それまで裸を見合ったことが無い人の前で
裸になるのに
あけみは恥じらいを感じた

それでも 
インタビューをうけていた
廻し姿の女性が
取組後の清々しい表情を浮かべながら話す顔と
「最初
みんなの前で
裸になるのは恥ずかしかったですが
あとから、快感になります」

という
言葉を思い出し
ブラのフォックを外し

腰タオルを巻いてから
パンツを下ろした

すごく開放的で気持ちいい気分になった

よしかも裸になり腰にタオルを巻き終え準備できたようだったので


そして
適当なあいだを空けて
あけみとよしかは両手をつき

少しの間
互いの体をじろじろ見つめような感じになった

「よしか、わたしと同じぐらいに出産したのにわたしより痩せてるな」
とか
「あけみ、わたしより胸大きい」
とか
それぞらに思いながら

あけみとよしかは
目を合わせて見合い

タイミングを合わせて
「はっけよい  のこった」
声を合わせて立ち上がり

まずは手と手で合わせて
向かい合って立つような

感じになり

だんだんと手に押す力を
込めて
手と手で押し合う感じで
最初はぎこちなく手で押し合う形で

力比べに
なった

日頃からの
互いへの嫉妬心
日頃の恨み辛み
をぶつけあうかのように
2人は
力を込めて押しあった


体重の分押し合いは

あけみに分があり

じわじわあけみが
よしかを押し込んで行き

よしかを押し出した

よしかは悔しそうに
あけみの大きなバストを見つめ
悔しさに唇を噛み締め

「ねえ、もう1回」
あけみに叫んだ
あけみも応じ

また
手をついて向かい合って
2人で声を合わせて
取り組みが始まった

また
手と手で押し合いながら始まった
今度は
よしかが組み合った手をグイグイと
右に左に横に上にと
動かしてきて

最後は
引き込まれて
誘い込まれて
あけみは土俵のじゅうたんに膝と手をつかされた

あけみは
よしかのスリムな身体を
睨みつけるように見つめ

「よしか、もう1回やろ!」
こちらも叫ぶように懇願し


こんどは
肩の部分を押しに来たよしかを
あけみが組み合いに持ち込み
互いに体を密着させて
まわし代わり腰巻きタオルをつよく掴みあっての取り組みに
なったが
 よしかを組み止めたあけみが
よしかを投げ飛ばして
勝利し

さらに
つぎの取り組みでも

懐に飛び込むように組み付いて、組みあいに持ち込み

今度はよしかが
あけみの足をひっかけて
あけみを転がし
 
こんな感じで
 あけみとよしかは
 初めての相撲に夢中になり

気がつけば
二人の子供たちを
保育園に迎えに行く時間になっていたので

 あけみとよしかは
着替えて
それぞれに車で保育園まで
子供たちをそれぞれに迎えに行った

あけみとよしかは
別れてからも
それぞれに
互いへの
対抗心を燃やしながら胸に秘め 
それぞれのわが子を連れて
家に帰った。






それから
あけみもよしかも
インターネット上の動画や
雑誌などで
ママさん相撲について
いろいろ研究した


それから数日後
よしかから
近くに土俵があるスーパー銭湯があるから
一緒に行こうというLINEが来た


時間を合わせて行ってみた


服を脱ぎ
石鹸類やタオル
を抱え
赤い腰巻タオルを手に持ち

大浴場に入っていった
奥の方に行くと
子供たちが遊ぶためのアスレチックのようなコーナーがあり
そのなかにウレタンマットの土俵が設置されていた

あけみとよしかは
お風呂のためのタオルや石鹸具を土俵脇に置き、

それぞれに赤いタオルを腰に巻き
土俵に入った


仕切り線に手をついて
目線を合わせ

「はっけよいのこった」
声を合わせて取り組みを始めた

あけみは組みつこうとすると
よしかは体当たりのようなぶちかましで
あけみを弾きとばしてバランスをくずし


ムッとしたあけみが

よしかの頬を張り
よしかも明美のみぞおちを張り返し

そのあとも激しく張り合ったあと

よしかとあけみは激しく組み合った

そして

大相撲の末

よしかがあけみを投げ飛ばし

よしかはあけみに手を貸し
あけみが起き上がったところで

2人と同じ赤色の腰タオルを腰に巻いた女性が
2人の肩をたたいて声を掛けた
「2人ともね、競技のママさん相撲見たんだろうけど、ここはスーパー銭湯で
レジャーのお相撲するところだから、ぶちかましや張り手のような危険な技は禁止なの
じゃないと、怖くてお相撲楽しめない人も出てきちゃうでしょ
あそこに注意事項の張り紙あるから読んできてね」

ボードを指さした

それから
土俵ではその女性と2人の仲間の女性たちが入ってきて
軽く体操してから

準備運動程度にすり足を行い

立ち会いでの当たり方などをお互いに見合って確認し合っていた

ボードには張り手やぶちかましなどが禁止なことや

仲良く譲り合いながら使いましょうと言うことなどが書かれていた

そして10項目ほどの注意書きを見ながら
「よしか いきなりビンタみたいな張り手ごめんね」

「こっちこそあんな体当たりみたいなあんな体当たりみたいなぶちかましをいきなり試しちゃってごめんね
全国大会のまわしつけるママさん相撲やってる人は大会運営団体もチームもスポーツの保険入ってるけど
うちら全く保険とか入ってないね」

「そうだね、よしかに負けたくなくて 全然 気がつかなかったよ」

「わたしも夢中ですっかり気が回らなかった」


そうこう さっきの女性たちの相撲の練習を見ていると

さっきの女性が2人の所へやってきた

「あの、すいませんさっきは厳しいことを言ってしまって気分を害されてしまってたら悪かったです。
ところで これから隣町の人たちとお相撲の交流会やるんですがむこうが5人なのにこちら側が3人しか居なくて、人数的に心細いので
もし、よかったら私たちの側に入って参加してくれませんか?

あけみとよしかは
少し相談して

おもしろそうだから
参加してみることにした

「紹介遅れました わたしは田中ゆみと言います
わたしたちは水泳をやってる仲間なんですが、
ちょっと違うことをやってみたくなって
ここでお相撲をやり始めたんですが
おなじスイミングクラブで練習してる
隣町の人たちも私たちと同じように
スイミングない日はお相撲してることが判って
プールで盛り上がったので

交流会というか
対抗戦をやります

プールでも土俵でも向こうの飯山しほさんには負けたくないので
今日は力を貸してもらえて嬉しいです」

「ゆみさん、いつもしほさんと
プールでものすごい意識し合ってますもんね
大会ではよく優勝か準優勝か分け合う感じになってますものね
紹介遅れました、同じくゆみさんの水泳仲間の遠山なつみです
今日はこの町の名誉にかけて勝ちましょうね」

「おなじく楠田かれんです
まあ 楽しみましょうよみなさん」

3人とも顔は穏やかだが
目は闘志に燃える目をしていた


それから

青い腰巻きタオルの5人が
現れた

赤いタオルのリーダー格と思われるゆみは青いタオルのリーダー格のしほと
にこやかに話しはじめ

なつみとかれんも青いはちまきのようなタオルを腰に巻いた女性たちと
楽しそうに話し込むような感じになった。

にこやかな空気からいっしょに準備運動をし

いざ取り組みが始まると

空気は一変し

赤いタオルのあけみたち5人と
青いタオルを締めた5人の取り組みは

張り手やぶちかましなどの激しい技こそ出ないものの

水泳で鍛えられた妖艶でいて引き締まった女性たち同士が裸と裸で
マワシ代わりのタオルを強くつかみあって
身体を密着させあって組み合い
組み合いながら身体をねじりこむなどして主導権を奪い合い

押し出しあい、投げを打ち合い激しいものとなった

手と手を絡ませあっての
力比べから激しく気持ちをぶつけ合い

土俵際に追い込まれてから粘って逆転したり

意地と意地がぶつかりあっているのが

横から見てもしっかり伝わってきた

あけみとよしかも
自分たちの取り組みのときは

どうにかして勝とうと臨んだが
年はそれほど変わらないのに
水泳で鍛え上げている女性たちには
まるで歯が立たなかった。

とくにプールでもライバル同士の
ゆみとしほとの対戦になると
その闘争心はすざまじく

互いに譲らず
5分に及ぶ大相撲になることが数回あった


そうして
激しく裸同士で心と体をぶつけあった後は

洗い場で汗を洗い流してから
湯船の中で談笑し

そして ときには入浴後の食事もともにし

持てる力を出し切った後の清々しい気持ちの中
時間が流れた

それでも負けた後は内心悔しく

勝てたときは内心
すごく嬉しいので

次の土俵に臨むときへの情熱になる

それから あけみたちは
こういった相撲により夢中になって取り組み

また、しほたちのスイミングクラブにも加入し

水泳も始めた

そして

相撲をするときは

同じ銭湯をホームにする
ママさんバレーの女性たちのグループなどと対抗戦
をやったり

ときには他の銭湯に
対抗戦などをやりに行ったり

今までのようによしかと練習したり


ゆみやなつみなど
先輩たちに挑んでみたり

様々な形で風呂場の相撲に興じるようになっていった


スーパー銭湯の女性たちは
常連同士で競い合ったり
他の銭湯の土俵の常連の土俵たちと

抗争のような感じのことをやったりしながら女性たちは

相撲を楽しみつつ

互いにグループ間や個人間で
土俵の主導権を争い合いながら

子育てや家事などを含めた日々をいきていく。

2023年2月1日水曜日

沢良宜ゆうこ 38歳 こども3人

火曜日の午後

カルチャーセンターの一室は
裸に廻し姿の女たちの熱気がこだまする

そして
申しあいなど実践練習の時間になると
この部屋の2面あるウレタンマットの土俵では
そんな裸にまわし姿の女たちが
激しく身体をぶつけ合い、
打撃系の格闘技と見紛うかのような張り手で牽制しあい
渾身の力で組み合うなどして
激しく相撲を取り合う


彼女たちの多くは
国の少子化対策を旨とした専業主婦に対する給付金政策で
「専業主婦」となり

より豊かな暮らしを夢見て
「ママさん相撲 」
志す女性たちだ


もともとそんな「専業主婦」の女性たちの間でエクササイズとして
流行り始めていた
裸で相撲などを取る事を仲間うちなどでやっている女性たちの
妊娠出産に至る確率の高さに目をつけた
国の少子化対策委員会が
「ママさん相撲 」
として
日本相撲連盟や日本相撲協会などと協力しながら
競技化し、普及促進を押し進め
そのなかで
クラブに加入するなどして競技者登録した、あるいは
公式大会に参加する専業主婦の女性に対する給付金の割増給付



このママさん相撲を通して得られる
様々な褒賞金などを得て
より豊かな暮らしを手にし

我が子により良い教育環境を与えたい
願う
「専業主婦たち」

その練習は一般的に
所属クラブ
或いは
クラブに入れなかった者は
スポーツジムの女性専用の相撲講座などで
行う
練習の最初こそ和気藹々とした空気であるが
同じクラブに所属する主婦仲間といえど
同じ土俵に上がってしまえば
互いにどちらが勝つか負けるかの敵同士であり

同じクラブ内であればこそ
団体戦メンバーの座や
団体戦メンバーのなかの大将や勝負を左右するポジションを争い合うなど
よりお互いに負けられない間柄となることが
多くある

なので
クラブの練習中のほうが
公式大会よりも取り組みが白熱するということもよくある
団体戦メンバーのほうが
そう出ないメンバーより2倍近く多くの割増のお金を貰えたりするのも大きく絡んでそうなりやすい。

また
団体戦のあとの個人戦となると
ほぼ全員参加で
初戦あるいはどこかで同じクラブのメンバー同士での対戦になることも多々あり

そこに向けた互いの対抗意識も作用し


そのクラブの強さや雰囲気の高まりに比例して
練習中の土俵は
大きな大会が近づくにつれ
白熱することが多く

そうなると
互いの激しい張り手やぶちかましなどで
身体や顔を赤く腫らした状態で、相撲クラブの練習後に保育園などに子供の送迎に行く女性も多く

大会が近づくと
ママさん相撲が盛んな地域の保育園や学習塾では
だれがママさん相撲をやっている母親か
一目瞭然になることも多い。

沢良宜ゆうこも
そんなママさん相撲に参加する
専業主婦の1人として
大阪の枚方相撲クラブで競技生活を送っている


ゆうこは夕食の下ごしらえまでの家事を足早に終わらせ
自ら運転する車で
市が運営するカルチャーセンターに向かった。

そして
更衣室で着てきた衣服を脱ぐと
一糸まとわぬ自らの裸体を鏡に映して
全身の状態を確かめながら 

気持ちを高める

このカルチャーセンターでの、この
ママさん相撲を始めてから10年以上

年月を経ても若々しい肌ツヤからくる
見た目より一回り以上若く見える容姿を保ち続け
夫からも結婚して何年経っても積極的な誘いを受け続け

いまだに夫婦仲は昼も夜も良好な間柄である

その結果
上の子は大学2年生
下の子は
まだ保育園の年少組という
真ん中の子は来年中学生

という
兄弟姉妹構成にもその夫婦仲の良さが現れている

そしてその裸の姿に
専用の穿き込み式の廻しを穿き

各部のベルトをキツく締め込み

まだだれも居ない一室に入っていった

2面の土俵が描かれたウレタンマットの部屋で
摺り足や四股など

相撲の基本動作に黙々と取組む

ゆうこがこれを始めたきっかけは
入ったばかりの頃の
ゆうこはまだ身体が弱く

練習でも試合でもなかなか勝てず
団体戦のAチームのメンバーにも入れず

Aチームメンバーは
個人戦でも団体戦でも活躍して
大会の副賞で新車を貰ったり

高級な電動アシスト自転車を貰ったり

はたまた
テレビやラジオや有名YouTuberのYouTubeに
華々しく出演している姿にほぞをかむ日々が続いた

Aチームのメンバー入れない自分と
Aチームのメンバー入りしている同じクラブのライバル達との差をどのようにして盛り返すのか

そのとき
考えついたことのひとつが
この早出の自主練習だった

また
この地道な積み重ねがひ弱だったゆうこの
足腰を丈夫なものにし

これに続くように
早めに出てきて練習を始めるメンバーも増えてきた

ゆうこと同い年で
同じ日に枚方相撲クラブに入った
沢木ゆみこもそんなひとりだ

ゆうこは
ママさん相撲を始めたばかりの時
クラブへの会費や大会参加のための交通費や参加費が嵩み
そして
大会では個人戦でも
BチームやCチームで参加する団体戦でも
勝ち星をなかなかあげられず

家計の足しにするために始めたはずの
ママさん相撲で
なかなか
結果を出せず
思ったほどお金も稼げずにいた

また
同じ日に始めたゆみこが
早くから頭角を表し
Aチーム入りを果たしたりする姿を
苦々しい気持ちで見つめていた

また上も下も名前が似ていることもあり
監督ら先輩たちから呼び間違えられて

悔しい思いをすることも多かった

そして
土俵の上でゆみこと対決しても

じょばんの張り合いでバランスを崩されて負け

どうにか組み合いに持ち込んだとして
絶妙なタイミングで
間合い外して転がされ

土俵に転がされる

同じ年齢で
同じ体格で

子供の年齢も同じくらいなのに

いつも
ゆみこに分があがる

そして
いつもゆみこが

Aチームに選抜され

自分は
クラブ方針によりサポートですらないものの

5人すら揃わないことのある
明らかに優勝を目指した編成ではないチームで
団体戦に出場する

第一ゆうこが
練習でも試合でもほとんど勝てていない

そんな悔しい日々をどうにか終わらせたいと
思ったゆうこは

家事をとにかく早く終わらせ
1番早く練習の土俵に入り
さまざまな摺り足や
四股を中心とした自主練習を
始めるようになった

すると3ヶ月続けると
取組中に軸がぶれなくなり

少しずつ練習でもクラブの仲間との相撲に負けなくなり

公式戦でも勝ち星が増えていった

そして

夫にも就寝前に
すこし練習相手になって貰うようになった

そして互いに裸で向き合いながら
あらためて妻であるゆうこの裸体の美しさに魅了された夫から
積極的に誘われるようになり

女としての自信も相撲の強さに結びつくようになり

さらに勝ち星や実績を伸ばしていき

時折
ライバルのゆみことの対決でも
絶妙のタイミングの突き押しや組み方の変化も
身についた落ち着きで先読みできるようになり

やがて ゆみことの立場も逆転していった

Aチームにも名を連ねることが増え
その当落線上をゆみこと競うことが本格的に増え始め

まさに公式大会前最後の団体戦1枠を争うかのような
申し合いでは

なかなかゆうこが崩れないことに業を煮やした
ゆみこが不必要に顔付近に
何発も張り手を入れてきたことに
ゆうこが怒って

喉輪をつかんでゆみこを土俵に外に押しだし

取り組み自体はゆうこが勝ったのだが

怒りの収まらないゆうこは
ゆみこの頬を平手でビンタし
ゆみこも応戦し
取っ組み合い寸前までエキサイトしたことがあった


その大会では団体戦Aチームメンバーはゆみこに決まったが

個人戦では怒りのままに勝ち上がったゆうこが
ゆみこと対戦し

ここでもゆうこがゆみこを気迫の相撲で下し

勢いそのままに
初めての個人戦優勝を果たし


遅咲きの大阪チャンピオンとして全国大会に
出場した
ゆうこにとって飛躍の大会となった。

その後は
枚方クラブ内でもAチームに当然のように名を連ねるようになり

ゆみことともに
枚方クラブの躍進に貢献し

強豪の古市クラブと2強時代を築いていった

そして

土俵の上での激しいライバル関係は継続しつつも
ゆみことゆうこは
互いの子供の入学や卒業などの門出の際には
祝いの金品を送り合うようになり

ゆみこが懐妊し
産休明けの復帰の際には
復帰の際には
その年に出産した母親同士の
白相撲大会に向けた練習相手やその他のサポートを行い

またゆうこが妊娠した際にも
同様に
ゆみこがサポートを行い

両方とも
白相撲で優勝し

それを互いに我がことのように喜んだ

ゆみこの関係は
嫉妬しあいながら競い合う関係から

競いつつも支え合う関係に変化していった

それゆえ
40近くなっても

大会、練習問わず
2人の対戦になると
激しく張り合い
組み合い

壮絶なまでの取り組みになることがが多い


そのおかげで
古市クラブの森田りなや
門真クラブの
赤田さちこと並んで

ママさん相撲界の浪速の四天王
として

全国に名が知れ渡ることになり

これまでは経験のためにとりあえずエントリーする以外は
特になんの施策もなかった
Bチーム以下のメンバーにも積極的に指導などを行なったりするようになり
クラブ全体の雰囲気も明るくなっていった。