2013年11月20日水曜日

湯場争い

 とある山あいの農村では
山の温泉水の恵みで
八カ所の湯治場があった
その湯治場は男子禁制の場で
"とうば"と呼び称せられていた
文字にすると湯場と書くのだが
女が闘う場所という意味での闘場という意味も込められていた

八つの湯場にはそれぞれ神棚が祀られ
その主となった女は右胸に印を入れてそれを表す
主となった女は優良な子宝に恵まれると信じられており
女たちはその主の座を虎視眈々と狙いあっていた

主の座に挑戦する女は左胸に印を入れて、主の女と鉢合わせるように湯場に行く
そうして胸に印を入れた二人の女が湯場で出会ったとき
闘いは始まる

湯場はこのような女たちの争いに対応するため
床のタイルや浴槽は角を落とすなどし
女たちが無用なケガをしないように作られていた

この村で家電メーカーの技術者の夫とその両親とともにくらすまゆみもまた、湯場の主を狙うひとりだ
今日は初めて左胸に口紅で印を描きいれ、湯場に向かった

脱衣場で服を脱ぐときまゆみはまわりを窺った
もし主の女と出会う前に自分と同じように左胸に印を入れた女と出会ったらまずはその女と戦わねばならなくなるからだ
いつもは女友達で談笑しながら入る湯場が今日はまったくちがって見えた

服を脱ぎ、体を洗い清め
主の女の登場を待った

そしてしばらくすると右胸に印の入った女が体を洗い清め湯船に向かってくるのが見えた
この湯場の主、きぬえだ
二人の女は湯場から人気がなくなると
立ち上がり、眼差しを向き合わせた
まゆみは闘いを前にし
乳房は前にせり出し硬直し
陰毛はそばだち
異様な興奮に包まれているのを感じていた

二人の女は湯船中央で向かい合い
まずはまゆみが平手をきぬえの頬にうち、きぬえもまゆみの頬に平手を打ち返した

しばらく繰り返した後
2人の女は腕四つで組合い

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