2022年8月9日火曜日

山田幸子27歳 子供2人

「ママ~がんばって~」
「おかあさん負けるな」
子供たちの声援を背に受け
とある温泉のプレイエリアのウレタンの土俵では
今日も
母親たちが真っ裸の姿に前掛け型のエプロンのような形をした専用の腰巻きタオルを身につけた姿で
懸命に組み合っている

幸子は対戦相手のママ友仲間の
安田セナと組み合いながら

セナさん、下のお子さん生まれてまだ1年なのに
胸は大きくなったのにクビレはしっかりできて
いい身体になったな
感心していた

とは言え
勝負は勝負なので負けたくないと必死で上手を取ろうとしたり押し出そうとしたりしてみたが

この1番は一瞬の隙をつかれ
土俵に転がされた


「ああ、やっぱりセナさんつよいな」
「産後最初の1番だからこんなもんだよ」
そう言葉をかけられ
幸子は1年間のブランクを思った

「幸子、復帰後初土俵おつかれ~ 」
「幸子、ナイスファイトだったよ 」

周りで取り組みを見守っていた
他のママ友仲間からも労いの声が飛ぶ

それにしても
最近、発売されて幸子も瀬名たちと一緒に新調した腰巻きタオルは
陰部や股間などを保護する目的で
エプロンのような前垂れがついてて


それを腰に巻いた女性たちは

胸をさらけ出して裸エプロン姿になって
取っ組みあったりするので

いかにもママさん相撲
という趣がある


「ところでさあ
あんたとやったあと、めっちゃ白くなっちゃったわ」
とセナから言われた
セナの身体はところどころ
幸子の母乳で白く汚れていた

幸子はセナへの憧れが強い余り
つい
対戦するときは気持ちが篭ってしまう
一昨年
主婦仲間で一緒に行った温泉ツアーに行った先で参加したママさん相撲大会でも
個人戦でセナと対戦した時は大1番になった
セナも幸子には負けたくない気持ちを強く持っていて
それほど本格的に競技としてのママさん相撲には参加しない2人だが
土俵の上では互いに負けたくないと強く思いあっている。


「セナさん、洗いますよ
お背中流しますよ」
「まあ、いいって
それよりさあ
白相撲申し込んだの」
とセナはタオルの前掛けで身体を拭いながら訪ねる
やっぱりセナさんほどの女性になると下の毛の手入れも抜かりないなと
幸子はいつもながら密かに感心した。
「まだです、今日帰ったら申し込もうかなと思ってます」
「そうかい、景品めっちゃ良いから申し込む価値はあると思うよ」
「去年、セナさんが参加されてた時は
オムツとか粉ミルクとかかなり貰ってましたよね」
「ああ、優勝できなかったから車は貰えなかったけど
参加賞だけでもいいもの貰えるよ
交通費も出るしね 」

「まわし用意するのめんどくさくて渋ってたけど申し込んでみます」

そう
セナたちと土俵の外で話し込んでるうちに
別のママ友グループが土俵を使い始めた

胸にホクロがある
色白で一際胸の大きな女性が青い裸エプロンのような腰タオルを巻いて
立ち会いに臨んでいた

相手の緑の裸エプロンの女性と
激しい取り組みを見せていたが
スタミナの差で
土俵のそとに押し出されていた
「お姉ちゃんやっぱり強い」

「そりゃねえ、産後すぐの妹になんて負けないわよ」
そう答えた女性の身体もまた
さっきのセナのように白く汚れていた。

ひょっとするとと思い
幸子は締めこんでいた赤い裸エプロンのようの廻しタオルを綺麗に締め直してから
青い裸エプロンの女性に声をかけてみた
「あの、もしかして
今度、白相撲に出たりしますか」
「え、はい、そのつもりですが 」
「あの、私も出るんですが
同じような感じの練習相手が周りに居なくて
前哨戦みたいな感じで対戦してもらっても良いですか? 」
「前哨戦? 良いですよ」
青い裸エプロンの女性はにはあんとした笑みを浮かべ
幸子の申し出を了承した

そして
土俵が空くのを待ってから
青い裸エプロンの女性と幸子は
土俵に入って仕切り線越しに向き合った

立ち会いで両手をつき  

向かい合った時
その目の奥からつよい光を感じた
新たな生命を産み落とし
これからその新たな生命を守ろうという決意が
その瞳から滲んでいた


競技者の身体を守るという機能性を追った結果前掛け型に進化した腰タオルを巻いた姿も相まって

母親としての強さが溢れんばかりに感じ取れた

だが
幸子のほうも
自分も
子を産んだばかりの母親で
自分も
我が子を守り育てなければならないのだから
負けてはいられないのだと
その青い廻しの好敵手の女の姿を見て
心を粋り立たせた

そして
行事役のセナの合図で
2人は真正面から組み合った


幸子の両手は相手の女の青い腰巻きを強く掴み

女の両手は幸子の赤い腰巻きを強く掴み
胸を密着させるような格好で引き付けあっ
て正面から押し合い
力を比べあった

産後の女の身体は
通常の女の身体より脂肪が増えて
肌全体柔らかい
その癖
胸は母乳を出せる状態になるため
乳房付近は少し硬くなるが
全体的に触れ合った肌感が柔らかくなる
そして
そんな柔らかい肌通しで押し合いながら深く触れ合うものだから
体感的に感じる温度が暑くなる

そんな状態で押し合いながら
互いに右に左に揺さぶりあい
上に下に探りを入れ合い
手を相手の二の腕に移して押し合い
また
廻しに手を戻して
身体を密着させ合っての押し合いに戻ったりで
一進一退の攻防を繰り返し時間は流れた

互いの母乳を蓄えた乳房にも強い圧力がかかるので
互いの身体に
それぞれの母乳を滴らせながらの激しい我慢比べのような様相を呈していた。

そんなんこんなで
幸子も相手の女も意識が朦朧としてる様子が周りで見ていた女たちにも見て取れたのか

「翔子さんそこらにしときましょ」

「幸子、もう今日は引き分けにしときなさい」
それでも土俵で戦い会うのを止めない2人を
最後は
周りの女たちが
引き剥がすように
引き離して
この勝負は痛み分けとなった
そこから
土俵際に座らされて
差し出された経口補水液を飲みながら
幸子と相手の女は剥き出た闘志を包み隠さず睨み合い続けた
そんな朦朧とする意識と闘志に支配された仲で
 「幸子、あんた赤ちゃん産んでそんなに経ってないんだからほどほどにしときなさい」
という
セナの激しい罵声で
幸子は
ふと我に返った。
 
これが我が子を守ろうとする気持ちの強さなんだなと
幸子は感じ入り

身体を洗って
この取り組みの感慨にふけりながら
身体にまとわりついた母乳と汗を洗い流した

それから

幸子と相手の女は
脱衣場で再開し
最初は気まずそうにしながらも
セナと女の連れ合いの女性の計らいで
仲直りのように謝罪しあい
互いに労い合い

LINEなどの連絡先を交換し
来週末の白相撲での再会と健闘を誓い合い
スーパー銭湯をあとにした

あの青い前掛けの女の名前は
桐原翔子

幸子のママ友グループと翔子のママ友グループ
最初は
何かと張り合うなどしたが
対抗戦などで親睦を深め

時には人数が揃わない時などは
大きなママさん相撲の大会の団体戦に
連合チームを組んで
望むなどするような関係になった。

幸子は
久々の銭湯のお風呂を楽しんでから
母親に預けていた下の子を受け取り
家に帰ると
さっそく
みんなが白相撲と呼んでいる
産後1年以内の
ママさん相撲に関する講習会の
申込用紙を記入して

その日に身につける
ママさん相撲専用の廻しを試着した。
やっぱり

仲良くなれたとはいえ
次こそは、翔子に勝ちたい

そんな思いから
たまに
セナやママ友仲間に頼んで
廻しを着けての相撲の相手をして貰ったりして
白相撲の日の準備に励むのだった。




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