2022年8月15日月曜日

桐原翔子 26歳 子供1人

翔子は久々にママさん相撲用の簡易廻しを試着した
廻しのマジックテープの止める位置が
今までの位置ではかなり窮屈になっているのを感じた。
産後太りというものなのだろうか
今までは
4つ上の姉の祐子の練習相手をさせられる形で土俵に立ってきたがついに自分も
こういう形の相撲の場に参加することになったのかと少し意外に思った。

仕事が休みの日に姉に頼まれて
スーパー銭湯ついて行って
相撲の相手をするところから
このママさん相撲との縁が始まった

最初 腰に巻いたのは
大浴場などでのママさん相撲で
当時一般的だった
1本布の腰巻きタイプの腰巻きタオルだった
姉の祐子が用意してくれた。

それから
翔子にも交際相手ができて
結婚して
子供ができた

姉の練習相手で
銭湯の土俵や家などで相撲を取ることが
専らで
相撲の相手は姉か
たまに姉の相撲仲間のママ友連中かだったが



こないだ初めて
それ以外の相手と相撲を取った

そして
腰には初めて
自分で買った
最新の前掛けエプロンタイプの青い腰巻きタオルを巻いていた。
通販で注文して、届いて
裸になって付けてみて
なんとなく、自分も母になった
感慨と実感にふけった。

姉たちのママさん相撲の練習相手をしたり
大会を見に行ったりすると
裸に廻しやタオル1枚で土俵に上がる女たちの
母としての誇りに満ちた姿が
翔子にはなんともかっこよく見えていたのだが

ついに自分にもそういうふうになるときが来たのだなと翔子は思って嬉しくなった。

自分も参加する予定の白相撲の前哨戦をやりたいと、初対面の女性から対戦を申し込まれたのだ。

その申し出が
まず本番前に自分を倒して踏み台にして
自信をつけたい
と翔子には聞こえた。


  そうか私なら倒せそうだと感じたのか
なんか、悔しいから返り討ちにしてやろう
翔子はそう思い
苦笑いを浮かべて対戦のお誘いに応じた。

やっぱり
勝負事だし
勝つと嬉しいが
負けると悔しい

余裕で勝てそうだ
と見下されたと思うと腹が立つ

見返そう

そう思い
赤いエプロンの女との土俵に上った

取り組みは
互いに白相撲本番を前に
互いに負けたくない気持ちが激しくぶつかり合う
激しいものとなり

渾身の力で胸を合わせる形で押しあった
上半身には
互いの母乳が白くまとわりつき

翔子の身体にも
互いに強く掴み合い握りあった
お互いの手の跡が何個か残るほどの激しい取り組みは
翔子も相手の女も衰弱し

その様子を見守った周りの判断で引き剥がされる形で水入りになった。

その後
取り組みで吹き出た汗と母乳で汚れた身体を洗い場で洗い流し
水分を補給したりしながら入浴し
脱衣場で
あの赤いエプロンの女と遭遇した。

話してみると
そんなに嫌な感じのしない人だとわかった。
たまたま同じタイミングで居合わせた
白相撲に出そうな人だったから声をかけてみたということだった

でも、取り組み中に母親としての強い思いが
強く感じられて自分も負けられないと思ったとか
色々、賞賛された。

そして
赤いエプロンの女、山田幸子とは
土俵上では今までに増して
負けたくない相手として意識をしあうようになったが
それ以外では幸子は翔子のよき相談相手で友人の1人になった。

それから幸子のママ友グループと翔子たちは
近くのステーキガストで昼食を共にし

白相撲での再会と健闘を誓いあって
家路についた


それから
白相撲の日までは
姉の祐子やその友人たちに頼み込んで
廻しを締めこんでの相撲の練習に付き合ってもらったりして

白相撲というよりは
幸子との再戦に向けた練習に励みながら
白相撲当日を迎えた

そして当日
会場で
ベビーカーを押した幸子と出会い

負けたくないと互いに意識し合いながらも

お互い
知り合いもおらず
心細かったので

一緒に
午前中の講習会を隣同士の席で受講し
 
一緒に記念会食の食事を食べ

化粧廻しを身につけての写真撮影では
いろいろと助け合って
撮影に臨んだ

1番負けたくない相手と
こうして助けって仲良く過ごすのも
意外と悪くないと
翔子は思った。

そして
いよいよ午後から
待ちに待った

白相撲の取り組みが始まった。
午前の講習会や
化粧廻しを締めこんでの記念撮影などで
子育てへの決意を新たにした
母親たちは
化粧廻しの廻しを外し
サガリを着けたまわし姿に装いを改め
激しい取り組みを各々の取組で繰り広げていた。

今回の白相撲は
30人近くの母親が参加したので
トーナメント方式で行われた。

翔子と幸子は
勝ち上がっていけば
準決勝で対戦する組み合わせになった。


翔子も幸子も1回戦は
練習の甲斐あってなんとか勝ち上がったものの
2回戦で
共に
相撲クラブで練習を詰んだ対戦相手の前に敗れて
今日の対戦は叶わなかった。


それから
何日か経ち
やっぱりあの日の決着を付けたかったな
釈然としないモヤモヤが
翔子の心を覆った。

そして
ある時、海辺を車で移動していると
砂浜の端に
いい感じに
岩場で囲まれてる場所を見つけた。
あそこなら海水浴客たちの人目を気にする心配も無さそうだ

翔子はそれから
たまに祐子たちと屋外のれんしゅうでつかっていた
土俵を囲うためのロープをそこに持って行ってみた

周りの感じといい
相撲をやるにはいい感じだ

早速
幸子に
「やっぱり、幸子さんと2人だけの白相撲をやって、初めてあった日の決着をつけたくなったの」
さっきの砂浜に作った土俵の写真を添えてLINEメッセージを送ってみた
幸子からも
「私も、それすごく思ってたの。
土俵まで用意してくれてるんだね、ありがとう。
いつがいい?」
帰ってきた。

それから
いろいろ話し合って
3日後に決まった

姉の祐子が立ち会ってくれることになり
幸子も友人のセナを連れて砂浜に来ることになったようだった。

ライバルとして意識する幸子との初めての決着
これを意識して
翔子の気持ちは昂り
翔子は丁寧に
廻しを締め込み
短パンとTシャツを身につけ
祐子の運転してきた車に乗り込んだ。

そして
砂浜につき
幸子たちも到着すると
翔子と幸子は
今日のこれからの1番への詰まる思いからか
一言も言葉を交わさずに、顔を合わせ
準備していた土俵端にに西と東に別れて座った。

座って一息つくと
2人とも上に着ていたTシャツと短パンを脱ぎ
まわし姿になり、砂の土俵に入った。


同じ土俵の仕切り線

行事役はつけずに
2人で声を合わせて組み合った

 翔子の右手と幸子の左手は
互いの廻しを掴み

その逆の手は
互いの主導権を防ぐために

強く掴み合い

片胸を合わせて押し合う形になった。

バランスを崩し合おうとする攻防から
翔子は幸子の身体の下に潜り込む形となり
押し込もうとする翔子と
叩き落とそうとする幸子の力比べに持ち込まれた。

そして体制は
胸と胸をガッチリ合わせて
正面からの押し合いの形になり

互いの両手は廻しを強く引き付け合い

最後は
初めての対決の時と同じく
女として
母親としての意地がぶつかり合う
根比べとなったが

最後は幸子が
懇親の力を振り絞って
土俵の外に推し出す形となり

幸子が翔子に経験の差を見せつける形の決着になった。
  
その後
熱線を終えて
ぐったりする二人を横目に
付き添いできた
セナと祐子も何番か相撲を取り

2人だけの白相撲は終わった。

それから
翔子たちとセナたちのグループ同士の交流も盛んになり

翔子と幸子は
互いによりライバルとして意識し合うようになり

銭湯の土俵や
ママさん相撲の大会で
この2人が対戦する時には
会場は事情を知る仲間たちから
大きな盛り上がりを博するようになり
この二人の優勝争いがこの地域のママさん相撲の強さを牽引するほどになった。




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