2009年4月12日日曜日

夜の祭り 13

黒いマワシに絞め直したのりこは

席に戻り

お茶を飲みながら、自分の名前が呼ばれるのを待っていた

祭りは佳境に入り

最上位6名に名を連ねるのりこの取り組みは最後のほうなのだが

どことなく落ち着かない気持ちを

一杯のお茶で落ち着かせていた

土俵上では

少しでも多くの
報償金を稼ぎたい村の若い母親たちが

裸にマワシだけ姿で

身体のほとんどを

公然とさらしながら

今まで増して
激しく組み合い

投げを打ち合い

神前で相撲を取り合っていた

こうして時間はながれ

「東、田澤のりこさん
西
北野しほさん」
という
行司の女の声が響いた


のりこの8番目の取り組みだ


8番目の取り組みの相手は

身長140ちょっとで
これまでになく小柄な若い女だった

かくして
土俵に移り

立ち会いに入り

取り組みが始まった

相手の女は

のりことの
正面からの組み合いを避けるためか

素早い足裁きで

のりこの後ろにまわりこもうとしてきた

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