席に戻り
お茶を飲みながら、自分の名前が呼ばれるのを待っていた
祭りは佳境に入り
最上位6名に名を連ねるのりこの取り組みは最後のほうなのだが
どことなく落ち着かない気持ちを
一杯のお茶で落ち着かせていた
土俵上では
少しでも多くの
報償金を稼ぎたい村の若い母親たちが
裸にマワシだけ姿で
身体のほとんどを
公然とさらしながら
今まで増して
激しく組み合い
投げを打ち合い
神前で相撲を取り合っていた
こうして時間はながれ
「東、田澤のりこさん
西
北野しほさん」
という
行司の女の声が響いた
のりこの8番目の取り組みだ
8番目の取り組みの相手は
身長140ちょっとで
これまでになく小柄な若い女だった
かくして
土俵に移り
立ち会いに入り
取り組みが始まった
相手の女は
のりことの
正面からの組み合いを避けるためか
素早い足裁きで
のりこの後ろにまわりこもうとしてきた
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