2022年12月8日木曜日

山本レオナ 34歳 子供2人

レオナは参加するママさん相撲クラブの監督である戸坂さとみに連れられて京都府庁を表敬訪問した

山城クラブの団体戦メンバー5人と個人戦で山城クラブのレオナとあやめを除いてベスト4入りした2人と監督のさとみという、面々で
相撲競技:家庭婦人の部:国体京都府代表チームとしての訪問だった。


「さっきの女子相撲の皆さんはレオタードにまわし姿だったんですが、
山本さんたち同じ女性の相撲なのに裸にまわしなんですね
時折、新聞で見るけどやっぱりインパクトありますね」
「元々、美容目的で始まったエクササイズがスポーツになって国体種目にまでなってしまったので、こんな格好なんです。
素肌でお相撲やる方が美容にいいとかで」
「それにしても、映像の取り組みは張り手やぶちかましが多くて激しいですがお怪我とかは大丈夫ですか?」
「取り組みのあとは身体が真っ赤に腫れたりすることはよくあります。
あと口の中はよく切れてます。
でも
骨折とかはあまり聞きませんね
みんな
子育てのための養育費とかの足しにしたくて
必死でお相撲しちゃうので
アドレナリンで怪我しないのかもしれません」
「ははは、それは、逞しいお母さんたちで
お子さんは頼もしいでしょうな」
「だといいのですが
家での鬱憤が土俵で出ちゃうんですかね。
私たちも土俵で対峙したり
まわりで見てて。
お母さんの強さ逞しさに元気づけられることもよくあるんです。
子供の前でいいとこ見せたいのも力になりますし」
「お母さんが元気なのはいい事です
ぜひ、国体でも健やかなご活躍を祈ってます。」

知事たちと地元テレビ局がニュース番組のコーナー用にまとめた映像をバックに談話し
記念撮影を終えてから
支援金の目録を受け取った
お金自体は
相撲連盟の京都支部に振り込まれ
国体の旅費や宿泊費にあてられたり
個人、団体それぞれの選手のクラブで
経費に宛てられたりする

レオナが
府知事などからの質問等などに答える

前回に国体に出た7年前は
この役まわりをさとみがやっていた。

そしてレオナはようやく団体戦メンバーに名を連ね始めたころで
わけもわからず
その時の監督やさとみに連れられ
府知事に表敬していた。

それから
数度
個人として国体に出た際は
山城クラブは団体としては京都府予選で敗退していたので
別のクラブの人達と一緒に
この表敬に来ていたので久々に
自分のクラブと表敬に来れて
レオナは今までより落ち着いた気持ちで
訪問を終えられた。

そして
他の相撲クラブの2人と別れ
そのまま
山城クラブがいつも使う相撲場のある運動公園の映像ルームで
今回の全国大会に出てくるクラブなどの
映像をさとみと観て
作戦を話し合った

それにしても

ママさん相撲は
打撃系の格闘技かと見紛うほど激しい
取り組みが増えた

給付金加算対象になり
自治体主催大会などでは
1取り組み毎に大相撲の懸賞金のような目録給付金が着くようになり

昨今の某素人参加型格闘技番組の流行も相俟って
張り手かちこみやぶちかましなどが多用されるようになった

いまの広島大会の決勝戦の大将同士の取り組みも
片方のエルボーのようなかち上げで始まり
1度組んだかと思えば
相手からの張り手が頬に命中し
それに怒ったかのように胸に強い張り手をあて

頬や肩や胸に激しく
張り手を張り合う壮絶な一番だった
最後は
ぶちかましを受けた方が
上手投げで相手を投げ飛ばして終わった

レオナはこの大将同士の鬼気迫る1番を見て
改めて全国の団体戦を戦うことの覚悟を思うのだった。

そして
予選でメンバー外だった
かよことめぐみの大会での成長を
肌身で感じた
さとみの方針により

団体戦メンバーはまた
クラブ内で
総当たり戦などをして決め直すことになった。
個人戦でめぐみと対戦したレオナも大いに納得した。

しかし
よく聞くと
このクラブのムードが高まってるのを機に
チームの底上げをはかるねらいがあるのだという

おもえば
さとみが監督に就いて7年
いい時も悪い時もチームに寄り添って
作戦を練ってきた

団体戦のメンバーを1回戦と2回戦で
ゴロっとかえたり
たまにグラウンドで陸上短距離の練習をする日があったり

ボクシングやMMAを習いに
格闘技ジムに通った時期もあった


さまざまなことを試したりしてきた

よかったものも、そうでなかったものもあったが


今回もさとみには何か考えがあるのかも知れないと思った



山城クラブは表敬訪問の日から10日間の休養期間を設けた


休養に充てる者

様々なトレーニングに励む者

別の府県などの大会に参加し
技を磨く者など

思い思いに過ごし
久々の山城クラブとしての練習に集まった


クラブ内の総当たり戦をしてメンバーを決めるということは
予め
クラブのLINEグループで通達されていた。

そして思い思いに廻しを締め込み
ウォーミングアップを終え
取り組みが始まった


選手としては最後の大会に賭けるさとみと
レオナが期待をかけて育ててきたかよの一番から始まった


低く潜り込んできたかよとそれを組止めて受け止めるさとみ
かよに下から振り回されながらも
最後は意地で投げを打ち
かよを地面に転がし
さとみが貫禄を魅せた


そして続くめぐみとの対戦は
正面から組み合う格好になり

右から左から投げをタイミングを探り合い
最後は
さとみが隙を着いてめぐみを投げ飛ばし

さとみにとっては
こないだの個人戦の雪辱となる
かよことの対戦になった

冒頭にかよこからの激しいぶちかましをくらい
バランスを崩したところで

何発も浴びせてきた張り手に
さとみも応戦し
張り手のうちあいになり
最後はまわしを掴みあって
投げの打ち合いにもちこみ
力づくでさとみがかよこを投げ飛ばして
雪辱を果たした。

そして

きみかとは
正面から組み合って
力比べの末
さとみが意地を魅せ

そしてりかことの対戦では
さとみのスタミナの消耗をみた、りかこから
激しく張り手を浴びせられ
さとみもこれに張り手で答え
たがいに頬に  溝落に
胸に張り手を張り合い
そして
組み合い
互いに投げに持ち込んだところをりかこが競り勝ち
さとみを地面に転がした。
レオナとあやねの陰に隠れていたりかこが意地を見せた1番となった
りかこは鬼気迫る張り手で
あやねを土俵に沈め

レオナとの対戦も

ぶちかましからの
張り手応酬で圧倒し

勝利し

りかこは全ての取り組みで勝利を納めるという圧巻の内容で

団体戦の大将の座を勝ち取った


かよとめぐみの
ライバル対決も
白熱した
序盤から激しくビンタを押収し合うような
張り手を浴びせ合い

激しく
組み付き合い

最後は
めぐみがかよに組み勝ち
投げ飛ばして
こないだの雪辱を果たした。

ママさん相撲が
ビンタ相撲とあだ名される所以を体現するかのような
激しい1番だった

そして
それから数回

クラブで
全国大会に向けて
調整を重ね

最後に
団体戦のメンバーが発表された

今回は
りかこの急成長や
チーム全体の底上げを図る狙いもあり

個人戦に出る
レオナとあやねは

メンバーから外れた

そして
かよも
残念ながら
メンバーから
外れた

それから
みんなで
広島大会の団体戦の決勝や
神奈川大会の決勝などを全員でみて
その日の練習は終わった。

ボクシングか何か打撃系の格闘技と見間違えそうなような激しい取り組みが多く
何度観ても
この相撲が
子を持つ母親同士が
裸にまわし1枚の姿で
繰り広げていることに

同じ子を持つ母親でありながら

母の強さというものを
感じずには
居られない気持ちにレオナはなった

そして
この全国大会が終わると
自分がそんな母親たちを束ねる立場になるのだと
レオナは気持ちを新たにした。


さとみの団体戦での采配は
初戦を勝つと
メンバーの疲労やコンディションを考慮して
次戦で大きくメンバーを入れ替えることもある
采配なので

かよもレオナもあやねも

団体戦の準備は抜かりなく
行った



レオナとあやねは
個人戦が行われるので先ノリで新幹線に乗り込み
今回の国体の開催地の千葉県に向かった

前日の夕食会で 競技説明と対戦相手を決める抽選が行われた。

初戦は
高知県の 稲代ふみことの対戦が決まった

そのまま 対戦相手のふみこと
レオナとふみこの子供たちと一緒に写真撮影を
行う
対戦相手とだけでなく
その子供たちとまで
記念撮影が行われるのは

国体ならではで

この撮影をやる度に
複雑な気分になる

そして
翌朝
レオナは
子供たちを連れてタクシーに乗り込み
指定の会場に向かった
予選は4会場に別れて行われ
あやねや他のふたりとはそれぞれ別会場になった


そして
迎えた初戦の土俵

紫の布に黒く京都ととプリントされたゼッケンをつけたまわしを締め込み
2人の子供たちを抱きしめてから
上った土俵で

高知のゼッケンの回し姿のくみこと
相見える

その後ろには
くみこの子供たちが見守る

昨日和気あいあいと写真に納まった
家族連れの子供たちに見守られながら
その家族の母親と相対する

ママさん相撲の
厳しさを感じる瞬間である


それにしても

きのうのスーツ姿から
裸にまわしすがたになると


相変わらず身体の印象が変わる
今日のくみこの場合だと
昨日スーツを着ていた時は
小太りの印象を受けていたのに

マワシすがたになると
スリムで

胸が大きく

体のクビレなどもしっかりある
整った体つきをしている。


  
















  仕切り線に手を付き
くみこと視線を交し
レオナの初戦が始まった

挨拶程度に二~三発

頬や肩などを
張り合い

レオナとくみこは
組み合った

レオナの左手とくみこの右手が
互いにまわしを掴んだ状態で組み合った




もう片方の手の主導権を
対戦相手の栗色の髪の若い母親と奪い合ったが

経験の差で辛うじて
レオナが
制して

くみこを地面に叩きつけた

そして

戦いが終わると
栗色の髪のおんなが突っ伏していいるのを見遣りながら


勝ち名乗りを受け

懸賞金の入った封筒を受け取った。

そして
何番か
勝ち進み

迎えた
今日最後の取り組み

土俵の正面には

神奈川と刺繍された廻しの女性が
娘となにか話してから

土俵に上がってきた

レオナも子供たちを抱きしめてから
土俵に入った

対戦相手は
湘南クラブの岩田ゆりこ

二色浜相撲クラブの石黒富子と幾多の名勝負を繰り広げ
共に
長年、神奈川県のママさん相撲をリードし続ける存在

そんな女性と久々に土俵上で相対した

試合は序盤から

激しい張り手の応酬で始まった

張り手は
鼻先や頬や 肩などに乾いた音を立てて炸裂し

廻しをつかみ合わない組合に
移行するも

どちらかが優位になると

頬に強い張り手が入り

またどちらかが優位に立とうとする
頬に張り込まれ

そして
勝負は
正面から廻しを両手で掴みあっての組合に持ち込まれ

上手く誘い込んだレオナが
ゆりこを土俵に沈めて勝利を収めて

翌日の準決勝に駒を進めた。

そして
準決勝の土俵にいたのも
神奈川のゼッケンの女


今日の対戦相手は
川本こはる
二色浜相撲クラブで
石黒富子の直弟子として
頭角を現し

こないだの神奈川県の決勝戦では
その石黒富子と容赦ない張り手合戦の末
失神させ
土俵に沈めた
そういう苛烈な相撲スタイルの
赤髪ショートヘアの女性

何度か二色浜相撲クラブのYouTubeに登場している

レオナと年がひとつしか変わらない女性


レオナは俄然燃えた
レオナとこはるは
互いにぶちかましをぶつけあいながら
取り組みに入り

その後

張り手をかいくぐって
組合に持ち込んだ

強豪 二色浜相撲クラブと古豪の京都山城クラブ
の次期監督を託された2人の体の強さを競う形に持ち込まれた
この対決は

身体をがっぷりと密着させた状態で
組合

気持ちの強さの差で
レオナが勝利を収め

決勝戦は
鹿児島の選手と対決し
さっきの対決で
精魂つきたレオナが 
押し出され
この国体はレオナは
準優勝で終えた

翌日からの団体戦は
個人戦の疲労もあり
レオナは出場せずに見守った

最後の大会となったさとみも

最後に
長年のライバルの石黒富子と対決できて
満足そうだった


そして
監督と選手の2足の草鞋にもすっかり
板についたとき

若い選手の力を把握するために参加した
奈良県の大会で
自分も調整のためにエントリーし
何個か勝ち上がって
土俵にあがると

対戦相手は
さとみの娘の直子が上がってきた


なおこの鍛え上げられた美しいまわし姿の肉体を見て
レオナは時の流れに感じ入るのだった。

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