2025年8月9日土曜日

九州のママさん相撲

水曜日の昼下がり
九州は福岡の郊外のとある郊外の体育館

駐車場には
アルファードやレクサス、BMW
と言った高級車が並び

その一室には裸に廻し1枚の女たちが十数人2面の土俵が描かれたマットの敷き詰められた部屋に集まり

四股や腕立て伏せなど
トレーニングで身体を動かしたり

吊るされたサンドバッグに鉄砲うちを行ったり
思い思いの鍛錬に励む。

あの高級な車たちは
土俵に集まる女性たちが
ママさん相撲と言われる
主婦スポーツの「賞金」で
稼いだお金で買ったものが主だ

その車を互いに見合ったり
ステータスとして力を誇示する役割も持っている

政府の専業主婦に対する
1人につき月毎に最低18万円から就労時の収入と同額の金額を給付する制度が始まり

ママさん相撲は
そんな専業主婦たちの美容エクササイズで
レクリエーションとして始まった

裸で触れ合う刺激や
相手に立ち向かいぶつかり合う高揚感で
愛好する主婦が増え

やがて
ママさん相撲に参加する女性たちの出生率の高さに目をつけ

競技登録者に 追加の給付金
競技での成績に応じてさらに
給付額をアップし

各大会毎に大企業がスポンサーにつき

大相撲のように取り組み毎に懸賞金がつくようになり
収入を増やし、より豊かな生活をてにしたいと願う主婦の参加も増えていった

それに呼応して

組み合って身体を密着させて押しあって力比べという内容が主だったママさん相撲の取り組み内容は
時にボクシングのように張り合うという展開が増えるなどして
激しさを増していき
その裸の女たちが張り合い、へし合い組合い
時に失神KOの様な決着という展開も多い内容から
ビンタ相撲という別名までできるほどになった


このクラブの練習でも申し合いの時間なった

まず、くじを引いてだれとだれが
最初に土俵に入るのかを決め、
当たりを引いた二人の女が土俵で相対する。

二人の女は立ち会い
各々の形で手をのばして互いにぶつかり
相手のバランスを崩しあう
そして
互いに弾け飛んでよろめいた後
また 顔や肩や頬などを張り合い

相手のバランスを崩して主導権を
奪い

片方は組み付いたり
片方は頬を貼り飛ばして

また張り合いとなり

膠着したところで

組み合って
片方の女がどうにか
相手の女を転がすと

周りで見ていた女たちが
勝った女に群がり

勝った女が指名し
指名された女とさっきの相撲で勝った女が
また取り組みを始める

そして
今度の取り組みでは
立ち会いと同時にぶつかり合うやいなや
肩の他に溝落ちや頬を激しく張り合い
相手がなにかを仕掛けてくるのを察知すると
肩や喉輪を手でおさえつけて阻止する

喉輪をおさえられたほうも

踏ん張って
また組合にもちこむ

練習の土俵から
女たちは土俵への思いの丈を激しく
その裸体越しにぶつけあう

女たちは
この申し合いで
より強くなるために
より多くの番数の相撲を取ろうと立ち回り
そして
土俵の上では
たとえ練習であっても
汗に塗れた裸体と裸体をぶつかり合わせて
心の火花を散らし合う

この申し合いの勝ち負けなどもも

大きな大会の1チーム5人の団体戦メンバーの
選考材料になる

団体戦メンバーとして優勝する
優勝賞金のような割増の給付金も
もちろんある
団体メンバーに選ばれた時点で
団体手当のお金もつく
しかし
団体戦優勝メンバーの1人としての名誉と自信
それがあるがゆえに女たちは練習の申し合いでも
互い容赦なく攻め合い
激しく戦い合う

そもそも
この2面に分かれた土俵で
主力メンバー居るの土俵に上がり続ける権利も掛かっている
主力メンバーの居る土俵のほうが
大会で優勝できる確率も高く
また、自分自身も
そういったメンバーたちとの競い合いのなかで強くなれる

8人の中から
団体戦レギュラー5人と
その控え3人が選ばれ

もういっぽうの土俵で
5人を超えていれば
その余ったメンバーでチームを組んで
団体戦に臨むことになる

ゆえに
クラブで同じチームメイトと言えど
ライバル同士になる

1度同じ土俵に入れば激しくぶつかりあう


ママさん相撲の女たちに
とって
土俵を務めることは自分の城を守ること、
そしてより豊かにしていくことなのだろう
自分の城とは大切な我が子であったり、
家族であったり、守りたい存在なのだろう


自分の城を守るために今日も女たちは
土俵の中でその裸体をぶつけ合って戦い合う