ある日の午後の時間
まゆみは所属していた同じ相撲クラブで
同じ時期に妊娠して
出産も1日違いだった朝倉ユキを家に招いて
茶菓子を食べながら談笑していた
共に出産して2ヶ月
久々に会って積もる話や
子育ての話など
いろいろな話に花が咲いた
「また、お相撲やりたいわね」
「あら、わたしフンドシ持ってきてるわよ」
「いいわね久々に2人だけで」
と2人は話の流れで
手馴れた手つきで
座っていたソファとテーブルをどかし
絨毯の上に紐とビニールテープで即席の土俵を作って相撲の準備を始めた
歳も近く
元の職業が
ホームセンターと電機量販店ということもあり
気が合う2人は
妊娠する前から
こうして、2人だけの練習を時折やってきた
これを今から久々にやろうということだ
そして服を脱いで久々にふんどしに着替えた
ユキとお揃いで買った赤いふんどしを締めてみると
やっぱり、出産前より太ったなと感じた
ユキも同じように太ったようだった
そうして締め込み終わると
「おぎゃあ、おぎゃあ」
ちょうど同じタイミングで子供たちが泣き出した
お腹がすいたという授乳の催促だった
まゆみとユキはそれぞれ我が子を抱き上げて授乳した
守るものができたんだし
もっともっと強くならなきゃな
とまゆみは思った
そうして
「はっけよい のこった~」
と
2人は声を合わせて土俵の中で組み合った
最初は戯れ程度に軽く押し合う程度のつもりだったが
組み合って
胸と胸を合わせて押しあったり
投げを打ち合ううちに
気持ちに火がつき
徐々に本気の勝負のような熱量になって行った
互いに大会ではいつも1回戦か2回戦負けで
たまに勝ち上がっても3回戦止まり
そんな互角な弱小同士ということもあるのだが
互いが互いに密かに負けたくない相手と意識しあっていた
参加した大会では何度か
そんな2人の直接対決もあった
今までの対戦結果は3勝2敗とかなり拮抗したものになっている
そうこうしているうちに
まゆみはユキに土俵の外に押し出された
「お腹出たんじゃない? まゆみ」
「ユキ あんたもよ」
その次の取り組みでは
最初の負けで火がついたまゆみが
ユキを投げ飛ばし
その次の取り組みでは
ユキがまゆみを投げ飛ばし
また次はまゆみがユキを吊り出し
ライバル同士に戻った2人の熱の入った稽古は
時折、オムツ交換や授乳
休憩などを挟みながら
夕方近くまで続いた
気がつけば
2人の身体や土俵を作った絨毯は所々、2人の乳が押しつぶされて出た母乳で白く汚れていたが
ユキも掃除を手伝ってくれてすぐに、片付いて
2人でシャワーを浴びて
熱の入った練習を終えた
そして
来週から復帰しようという話になり
ユキはまゆみの家を後にし
2人のお茶会を終えた。
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